5.2兆円vs1.7兆円!北陸新幹線「米原ルート」で浮上する“第3の選択肢”はなぜ「新幹線より賢い」のか?
中速鉄道による費用革新

以前の記事「山陰新幹線、ついに現実路線へ? 中速鉄道の夜明け! 新大阪~舞鶴1時間短縮、在来線活用と新線建設のハイブリッド、この鉄道でなぜ地域は活性化するのか?」(2025年3月30日配信)でも示したとおり、大都市圏から100~150km圏で、既存ルートが大回りとなっている地域なら、中速鉄道で新幹線並みの1時間~1時間半の時間短縮を、新幹線の半額以下のコストで実現できる。
中速鉄道は在来線より高速だが、在来線の線路幅で対応可能な速度域であるため、ターミナル駅以外にも直通運転できるのが魅力だ。京都府の綾部や舞鶴に続き、小浜にも中速鉄道ができるなら、小浜に新幹線は不要で、むしろこちらの方がよいと感じた人は筆者だけではないだろう。
改めて小浜ルートと「東海道新幹線直通化対策を前提とした米原ルート + 琵琶湖若狭湾快速鉄道」の時間とコストを比較すると以下のとおりだ。
●小浜ルート
・費用:北陸新幹線建設費5.2兆円
・時間
1.新大阪~金沢間1時間20分
2.大阪~小浜間1時間2分
●米原ルート + 琵琶湖若狭湾快速鉄道
(東海道新幹線直通化対策付き)
・費用
1.北陸新幹線建設費1兆円(米原駅改造・留置線設置費用含む)
2.東海道新幹線・新大阪~鳥飼車両基地間10km複々線化6000億円
3.琵琶湖若狭湾快速鉄道線建設費1000億円(湖西線中速鉄道化工事費を含む)
(国による補償事業として自治体負担は途中駅設置費用のみ)
合計1.7兆円
・時間
1.新大阪~金沢間1時間25分(米原通過なら1時間19分)
2.大阪~小浜間1時間11分
なんと、小浜ルート強行費用の約3分の1で収まるのだ。それでいて所要時間は新大阪~金沢間で5分の差、大阪~小浜間でも9分遅くなるだけだ。しかも乗り換えなしで利用できる。どちらがよいかは明白だろう。
わずか数分の差のために3.5兆円も余計にかける価値があるのか。今こそ、「いばらの道」を進むのか、「まいばらの道」へ方向転換するのか、真剣に考え直すときだ。