5.2兆円vs1.7兆円!北陸新幹線「米原ルート」で浮上する“第3の選択肢”はなぜ「新幹線より賢い」のか?
北陸新幹線の米原ルート採用で注目される小浜市の扱いに異議が唱えられている。かつて期待された「琵琶湖若狭湾快速鉄道」の中速鉄道化は、約20kmの新線整備で大阪~小浜間を最速1時間11分に短縮。乗り換え不要で新幹線案とほぼ同等の利便性を実現し、地域振興に現実的な代替策として再評価が必要だ。
中速鉄道で描く再興構想

琵琶湖若狭湾快速鉄道(愛称:若狭リゾートライン)は、滋賀県高島市のJR湖西線・近江今津駅と、福井県三方上中郡若狭町のJR小浜線・上中駅を結ぶ全長19.8kmの路線である。起源は1904(明治37)年、江若鉄道によって構想された。その後、計画は国鉄若江線として引き継がれ、現在はJRバス路線として運行されている。
鉄道路線としての実現を目指す運動は、沿線自治体を中心に続けられてきた。しかし、2017年に北陸新幹線の小浜ルートが決定されたことで、沿線自治体はこの誘致を取り下げた。つまり、この計画は小浜ルート実現を前提としていたともいえる。
そうなると、もし北陸新幹線が米原ルートに変更される場合、この鉄道の整備は当然の代替策と考えるべきだろう。
さらに分析を進めると、費用対効果の面では、むしろ小浜ルートよりも中速鉄道方式による整備のほうが有利に見える。時速160~200kmで走行可能なこの方式に加え、湖西線の中速鉄道化も実施すれば、福井県や小浜市にとっては新幹線以上の現実的な利点をもたらす可能性がある。