ウーブン・シティで再注目! トヨタの技術開発を支えた「テストコース」の歴史を振り返る
敷地面積は東京ドーム約15個分
2020年1月7日、アメリカ・ラスベガスで開催された世界最大級の電気製品・技術見本市「CES 2020」で、トヨタ自動車(以下、トヨタ)の豊田章男社長がWoven City(ウーブン・シティ)プロジェクトを発表した。
同プロジェクトは、生活環境に未来の自動車を導入できるかどうかを実験・検証する都市を造成するもの。ウーブン・シティは静岡県裾野市にあったトヨタの東富士工場跡地に建設される。
東京ドーム約15個分の敷地面積となるウーブン・シティでは、これまで実用化されていない技術を盛り込んだ最新の自動車が試験走行されるわけだが、ウーブン・シティ建設予定地はトヨタ関連の工場や研究所が並び、高度経済成長期には工場敷地内につながる専用線されていた敷設されていた。そこでは部品等を輸送する貨物列車が行き交い、工場の最寄り駅でもある岩波駅周辺はさながらトヨタ城下町といった趣を醸していた。
トヨタの地盤はいわずと知れた愛知県豊田市で、周辺の名古屋市や刈谷市にもグループ企業が多く立地している。そこから遠く離れた静岡県裾野市といってもイメージしづらいかもしれないが、トヨタにとって東富士工場の一帯はトヨタグループの心臓部ともいえる都市(街)でもあった。
東富士工場周辺に立地するトヨタの工場・研究所群のなかでも、東富士テストコースはトヨタ躍進に重要な役割を果たした。その名前からも想像できるように、東富士テストコースはトヨタが開発に取り組む新しい自動車を試験走行する場だ。
織物機械メーカーだった豊田が、自動車メーカーのトヨタとして飛躍するためには、研究・開発が欠かせない。研究・開発をした最新技術が、実際に役に立つのか? 問題は起こらないのか? 自動車の事故はドライバーや同乗者だけではなく、歩行者などを巻き込む恐れもある。安全対策は怠れない。そうした事情から、新しい技術の導入にあたり、メーカーには確かめる責務が課せられている。