「どうせ自分なんて」 運送会社の社員はなぜ“自己肯定感”が低いのか? 業界構造に潜む危機に迫る

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運送従事者は頭が悪い──こういった書き込みが、Yahoo!ニュースのコメントなどで散見される。そんなことはない。運送従事者には地頭の良い人が多いと筆者は思う。足りないのは、地頭の良さをビジネスに活用するテクニックだ。

運送従事者につきまとう「自己肯定感の低さ」

なぜ運送会社の従業員は自己肯定感が低いのか(画像:写真AC)
なぜ運送会社の従業員は自己肯定感が低いのか(画像:写真AC)

 筆者(坂田良平、物流ジャーナリスト)は、本サイト(Merkmal)に限らず、複数のメディアで物流をテーマとした記事を執筆している。私の執筆記事に限ったことではないのだが、物流、とりわけ運送やトラックドライバーをテーマに執筆した記事におけるYahoo!ニュースのコメントを見ていると、関係者と思しき読者たちの自虐的なコメントをたびたび見かける。

「トラックドライバーなんて馬鹿ばかりだよ」
「頭が良かったら、運送の仕事なんてしないよな」

 気持ちは分からないではない。筆者自身、大学を中退してトラックドライバーになったが、中学・高校時代の同級生にはトラックドライバーになったことを隠していた時期があった。中学時代の同級生から、「学級委員だったお前がやる仕事じゃないだろう!」と言われたこともあった。

 同級生の言葉の裏にも、そして筆者自身の心の中にも、本人も自覚していない職業差別意識があったのだろう。

 だが、今の筆者は運送従事者の頭が悪いとは思わない。

 むしろ、筆者の知る運送従事者の中には、驚くほど地頭の良い人がたくさんいる。ただし残念なことに、その地頭の良さをビジネスにうまく活用できていないケースも少なくない。

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