西九州新幹線「佐賀県を通らないルート」実現可能か? 有明海ルートで博多~長崎10分短縮…浮上した奇策の経済効果と課題とは
長崎新幹線「有明海ルート」の提案は、佐賀県の反対を回避し、福岡県とのアクセス改善を目指す新たな道を開く。しかし、建設費用や技術的課題など解決すべき問題も山積している。
所要時間はどうなるか

佐賀県の陸地を通らず、長崎~博多間の距離も短くなるのが、長崎新幹線有明海ルートだ。では、所要時間はどうなるのか。以下の条件で試算した。
1.標準の運転速度は秒速70m(時速252km)で計算。
2.発車時の加速と停車時の減速は、それぞれ1回につき1.5分加える。ただし、低速走行区間である博多駅と諫早駅は1分加算とした。
3.博多~久留米間は、博多総合車両基地の分岐部から博多側を秒速30m、久留米側を平均秒速50mで計算。
4.九州新幹線との合流部は160km/h制限と想定し、減速による1分を加算。
5.諫早駅付近の曲線半径700m区間は110km/h制限とし、ここでも1分の減速を加算。
6.山陽新幹線内は「みずほ」の最速所要時間を基準とする。新大阪~博多間は2時間24分で、博多停車に2分を加える。
この条件で計算したところ、博多~長崎間をノンストップで走行すれば41分となる。現在検討中の佐賀駅経由案は51分なので、10分の短縮となる。長崎~久留米間は30分。利便性の高さがうかがえる。博多~大牟田間も24分。仮に、往復乗車券相当額の「2枚きっぷ」が同区間で発売されれば、西鉄から乗客を奪い返す可能性もある。このほか、主な区間の所要時間は以下の通り。
・長崎~新大阪:3時間6分
・長崎~岡山:2時間22分
・長崎~広島:1時間46分
・長崎~大牟田:20分
・諫早~新大阪:3時間0分
・諫早~博多:35分
・諫早~久留米:23分
・大牟田~新大阪:2時間47分