JALの中国版? 19兆円の負債を抱えて破綻した「海航集団」の無謀な拡大路線と、その結末

キーワード :
,
海航集団の崩壊は、中国経済の脆弱(ぜいじゃく)性を浮き彫りにする象徴的な出来事となった。この崩壊の背景には、航空業界の失敗だけでなく、無謀な投資によって事業拡大を目指した複合企業の問題もあった。

デモとコロナで壊滅

経営破綻のイメージ(画像:写真AC)
経営破綻のイメージ(画像:写真AC)

 海航集団が行った一連の買収で投じた金額は合計400億ドルに達し、その債務負担は大きな重荷となった。2017年には、銀行が海航集団への新規の海外投資案件の貸し付けを停止し、中国の財政当局からも目をつけられるようになり、信用不安が急増した。

 2年後の2019年には、香港で大規模なデモが発生し、観光客が激減。海航集団の傘下にある香港航空や香港エクスプレス航空(格安航空会社)の業績も急速に悪化した。香港航空は路線網や機材の削減を含む大規模なリストラを実施し、香港エクスプレス航空は香港最大手のキャセイパシフィックに売却されることになった。

 さらに、2020年には新型コロナウイルス(COVID-19)が大はやりし、中国は特に厳しい外出政策をとったため、旅客需要が激減した。その結果、海南航空など本土の航空会社は巨額の損失を被った。業績が回復しないなか、海航集団は2020年から実質的な公的管理下に入ることとなった。

 2021年1月29日、海航集団は経営破綻を発表し、破産法に基づく再建型の倒産手続きに入った。その負債額は驚くべき

「1兆1000億元(約19兆円)」

に達した。日本で戦後最大の負債を抱えて倒産した協栄生命保険(現ジブラルタ生命保険)が約4兆5296億円、金融機関以外では最大の日本航空グループ三社の

「約2兆3221億円」

と比較すると、その金額がいかに大きいかがわかる。

 また、航空部門の純損失(損益通算の結果残った赤字)は2020年には640億300万元(約1兆760億円)に達した。海航集団の倒産は当時、中国史上最大の倒産として注目を集め、後に続く中国恒大集団や碧桂園などの大手不動産会社の破綻とともに、中国バブル崩壊の象徴的な出来事となった。

全てのコメントを見る