JALの中国版? 19兆円の負債を抱えて破綻した「海航集団」の無謀な拡大路線と、その結末

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海航集団の崩壊は、中国経済の脆弱(ぜいじゃく)性を浮き彫りにする象徴的な出来事となった。この崩壊の背景には、航空業界の失敗だけでなく、無謀な投資によって事業拡大を目指した複合企業の問題もあった。

航空業界を超えた多角化戦略

 海南航空の勢いは航空業界だけにとどまらなかった。海航集団(HNAグループ)は、海南航空の業務再編の一環として2000年に、同航空の親会社として設立された。中国経済の成長とともにその勢いは加速し、航空業界にとどまらず観光、物流、金融、不動産などさまざまな分野に投資を行うコングロマリット(巨大複合企業グループ)へと成長した。

 世界中の投資家から注目を集め、特に著名な投資家であるジョージ・ソロス氏は、2005年に彼の運営するファンドから2億5000万ドル(当時のレートで約293億円)を出資した。海航集団は、中国国内だけでなく海外案件にも数多くの投資を行い、2010年から2017年の7年間で関与した約160件の投資案件のうち、75%が海外のものであった。

 そのなかには世界的な有名企業も含まれており、例えば欧州の大手銀行であるドイツ銀行の株式の10%を保有し、世界的なホテルチェーン・ヒルトンの25%の株を保有する筆頭株主でもあった。

 また、傘下に納めた企業も多く、2016年には米国の商業金融会社CITグループの航空機リース事業を100億ドル(当時のレートで約1兆400億円)、米国のテクノロジー商社イングラム社を60億ドル(当時のレートで約8400億円)で買収するなど、多額の資金を投入していた。

 本業である航空部門でも、海南航空やそのグループ会社のほか、アジュールブラジル航空、TAPポルトガル航空、ヴァージンオーストラリア航空などの株式を取得し経営に参画していた。

 これらの活動の結果、2017年末にはグループの総資産が約1兆2300億元(約19兆8300億円)に達し、世界的な企業ランキング・フォーチュン500において170番目の企業として紹介された。2010年代半ばまでの海航集団は、世界で最も活発な機関投資家のひとつとして、中国から世界中の資産を購入する巨大企業として大きな注目を集めていた。

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