公共交通の活用が「マイカー社会」より遥かに安上がりなワケ その上“おまけ”も盛りだくさんだった!

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公共交通機関の利用は、ハンドルを握って常に緊張を強いられる自家用車での移動よりも利点が多い。しかし、この事実はまだあまり知られていない。

地域別の移動費割合

公共交通(画像:写真AC)
公共交通(画像:写真AC)

 一方、移動に公共交通を利用する場合、マイカーに比べると負担は軽い。

 2022年の総務省の家計調査から「都市階級・地方・都道府県庁所在市別1世帯当たり年間の品目別支出金額,購入数量(二人以上の世帯)」を見ると、

・公共交通が発達している都市部
・マイカー依存度の高い地方都市

とでは、家計に占める移動にかかる費用の割合が大きく異なることがわかる。

 東京都区部の場合、年間消費支出385万9597円のうち、移動にかかる費用(公共交通と自動車関連費の合計)は20万5230円で、消費支出の5.3%を占める。内訳は、

・公共交通費:5万2061円
・自動車関連費:15万3169円

となっている。

 一方、富山県富山市を例にあげると年間消費支出380万1610円のうち、移動にかかる費用は38万9730円で、消費支出の10.3%に上る。内訳を見ると、

・公共交通費:1万3347円
・自動車関連費:37万6383円

を占めている。

 ほかの地域を見ると福井市でも年間消費支出329万1587円のうち、移動にかかる費用は39万2372円で、消費支出の11.9%を占める。公共交通費は9724円なのに対し、自動車関連費は38万2648円に上る。

 こうした数字から、公共交通が発達した都市部では

「移動費が消費支出に占める割合」

が低く抑えられている。一方で自動車依存度の高い地方都市では、移動費、実質的に自動車関連費の支出が高くなることがわかる。

 厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、2022年の都道府県別の賃金(男女計)は、東京都が37万5500円と最も高く、富山県は28万1200円、福井県は28万3500円と東京都を大きく下回っている。収入が少ないにもかかわらず、マイカーという

「支出の多い移動手段に依存せざるを得ない」

のが地方の実情といえるだろう。「クルマは持たざるを得ない」という構造的問題が、家計を大きく圧迫しているのである。

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