「池袋暴走事故」を再考する! 高齢者に運転免許証返納を“強制”するのは本当に合理的なのか

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「高齢者の事故率は低い」と主張しても、高齢者の交通事故に対する現役世代の見方は変わらない。本稿では、池袋暴走事故で議論された運転免許証の年齢制限を実施することの経済的・社会的コストの意義を問う。

池袋暴走事故の余波

交通事故現場のイメージ(画像:写真AC)
交通事故現場のイメージ(画像:写真AC)

 2019年4月に発生した東池袋自動車暴走死傷事故(池袋暴走事故)の遺族である松永拓也さんに以前、次の殺害予告が送られた。

「歳のいった飯塚にお金を払わせるのはおかしいので、近いうち松永を殺す」

「飯塚」とは、元通産省工業技術院長の飯塚幸三受刑者のことである。東大工学部出身のエリートで、2024年6月には93歳になる。

 殺害予告を受けて、松永氏はメディアに次の点を要望した。

・飯塚受刑者は自賠責・任意保険に加入していた
・民事裁判で確定し報道された金額は保険会社から支払われる
・飯塚受刑者個人との直接金銭のやり取りは無い

松永さんが激しい誹謗(ひぼう)中傷を受けたことが連日報道されたが、筆者(伊波幸人、自動車ライター)はこの問題の本質を

「高齢者バッシングに対する現役世代の怒りが殺害予告につながった」

と見ている。そう、感情論である。

 いくら「若者も事故率が高い」「高齢者が当事者となる事故率は低い」と訴えても、高齢者を経済的に支える現役世代は、高齢者が当事者となる事故に対する見方を変えない。特に、現役世代が被害者となったり、高齢者が事前に運転自粛を通告されたりした事故は、バッシングを受けやすい。

 そこで本稿では、池袋暴走事故で議論される

「運転免許証の年齢制限の実施」

による経済的・社会的コストの意義を問う。

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