「池袋暴走事故」を再考する! 高齢者に運転免許証返納を“強制”するのは本当に合理的なのか
「高齢者の事故率は低い」と主張しても、高齢者の交通事故に対する現役世代の見方は変わらない。本稿では、池袋暴走事故で議論された運転免許証の年齢制限を実施することの経済的・社会的コストの意義を問う。
認知症判断と医師の役割

以下は、日本老年医学会の「運転免許証に係る認知症の診断の届出ガイドライン」からの一部引用である。
「平成26年6月1日より改正道路交通法が施行され、認知症等を診断した医師による運転免許証に係る任意の届出制度が開始されました。届出を行うかどうかは「任意」であることに留意して下さい」
医師は、診察の結果、認知症や特定の疾病(脳卒中など)により、運転が著しく危険であると判断した場合、公安委員会への届け出を実施できる。
冒頭で紹介した池袋暴走事故では、認知症は該当しなかったが、パーキンソン症状が疑われ、医師から運転を控えるよう助言されていたと報道されている。
一般的に高齢者と接する機会の多い医師や医療関係者、警察・公安委員会との連携手段を検討する余地はあるだろう。ただし、その場合、医師側の対応や事務コストが増大する。また、患者側の
「運転免許を取り上げられた」
という感情への対応も必要で、制度の利用は限定的だ。
また、認知症が疑われる高齢者に対し、家族や関係者が免許証の返納を勧めても、高齢者自身が渋るケースも多く、筆者も地域のケース課題として扱ったことがある。運転免許証を年齢で区別するのではなく、運転能力で区別する社会システムの構築が望まれる。