春の新生活を襲う「小学生の交通事故」 子どもの認知機能は想像以上に未発達、保護者が避けるべきは「左右よく見る」という、大ざっぱな注意方法だ

キーワード :
, ,
春から始まった新生活。明るいムードの一方、子どもたちにとって交通事故リスクが最も高い時期でもある。

子どもが事故に遭いやすいワケ

子どもと交通のイメージ(画像:写真AC)
子どもと交通のイメージ(画像:写真AC)

 新年度を迎え、この春から新生活を始めた人も多いのではないだろうか。とりわけ、小学1年生の子どもたちは、目をキラキラさせながら学校生活を楽しんでいるだろう。

 子どもたちにはぜひとも学校生活を、そしてその先に広がる人生を楽しんでもらいたいところだが、そのために、保護者の皆さんや先生方、そして、小学1年生の本人たちも、間もなく人生のなかで

「交通事故リスクが最も高い時期」

に差しかかることを意識しておくべきかもしれない。

 年齢別の事故統計を見ると、交通事故で死傷する確率は6歳と7歳が他の年齢に比べて突出して高い。そして月別では5月と6月が、次いで9月と10月が高い。つまり、1年生はこれから最も交通事故に遭いやすい時期に入るのだ。

 保育園や幼稚園の往復は保護者が送迎を行うし、公園などに行く場合も基本的に大人が付き添っている。しかし、小学生になるとひとりで、あるいは子どもだけの集団で学校に通うようになる。

 4月のうちは付き添いや見守りなどが手厚いが、5月頃になるとこれらは徐々に縮小されてしまう。また、当の1年生も緊張が解け、新しい友達ができたりして行動範囲が広がっていく。つまり事故に遭いやすい環境が整うのだ。

 一方、低学年の子どもは認知機能が未発達である。

「脳の情報処理能力が大人ほど発達していない」

ので、注意を向けられる範囲が狭く、注意のコントロールも苦手だ。つまり、前方に集中しながら、同時に周辺の状況にも気を配り、必要に応じて危険な対象に注意を向けるようなことがまだうまくできない。したがって、危険な対象を見落とす可能性が大人よりも高いのだ。

全てのコメントを見る