物流崩壊のカウントダウン? 引っ越し業者に長時間労働を強いてきた社会が生み出す「引っ越し難民」という病理

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「業者を見つけるのがこんなに難しいとは思わなかった」「見積もりすら出してくれなかった」――。引っ越し需要が高まる3月、4月、引っ越したくてもできない「引っ越し難民」が増えている。これは物流崩壊の予兆なのだろうか。

「引っ越し難民」たちの悲鳴

引っ越しトラックのイメージ(画像:写真AC)
引っ越しトラックのイメージ(画像:写真AC)

 3月中旬から4月上旬にかけて、引っ越し需要が集中する。大学生が地元を離れてひとり暮らしを始める、サラリーマンが人事異動で転勤するなど、生活の転機が4月に集中するためだ。

 国土交通省がまとめた「大手引越事業者の月別引越件数」によると、4月の引っ越し件数は平均の約1.5倍、3月は平均の約2倍となっている。

 また、2023年の住民基本台帳の月別移動者数を見ると、1年全体では4人にひとりが3月と4月に住民基本台帳を移しており、引っ越しがこの月に集中していることがわかる。

 おそらく、今春の引っ越し希望者数は例年より多いだろう。これは各方面から聞いた話からの推測にすぎないが、新型コロナウイルスの流行で転勤をともなう人事異動を控えていた、あるいは延期していた企業が、この春から動き出した可能性が高い。

 ちなみに、住民基本台帳の移動者数を見ると、2023年は減少傾向にあるが、2024年1月は前年同月比で増加傾向にあることも付記しておこう。

 2022年度の大手引っ越し業者6社の引っ越し件数の月別統計によると、4月は年平均の約1.5倍、3月は約2倍の引っ越し件数が集中している。そもそも、平時の2倍の引っ越しに対応する引っ越し業者等の努力は並大抵ではない。

 想像してみてほしい。例えば、あなたは今の2倍の仕事をこなせるだろうか。本稿の読者のなかには、事務職、営業職、製造業、販売業、あるいは小売業やサービス業など、さまざまな仕事をしている人がいるだろう。

 引っ越し業界では、3月から4月にかけて仕事量が大幅に増えるという状況を長い間受け入れてきた。しかし、今春の引っ越し繁忙期は、長時間労働に上限を設ける働き方改革による「物流の2024年問題」にきちんと対応しようとする影響もあり、「引っ越し難民」を大量に生み出す結果となっているのではないかと推測する

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