物流崩壊のカウントダウン? 引っ越し業者に長時間労働を強いてきた社会が生み出す「引っ越し難民」という病理

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「業者を見つけるのがこんなに難しいとは思わなかった」「見積もりすら出してくれなかった」――。引っ越し需要が高まる3月、4月、引っ越したくてもできない「引っ越し難民」が増えている。これは物流崩壊の予兆なのだろうか。

分割引っ越しのメリット

引っ越しトラックのイメージ(画像:写真AC)
引っ越しトラックのイメージ(画像:写真AC)

 続けて解説する。

●軽貨物自動車運送事業者に引っ越しを依頼する
 例えば赤帽は昔から引っ越しを請け負っている。もちろん、軽貨物自動車での引っ越しなので運べる荷物の量には限りがあるが、荷物が少なければ選択肢のひとつになる。一方、一部の報道では、軽貨物自動車運送事業者に求貨求車サービス(荷物を運んでほしい人と運びたい事業者をマッチングさせるサービス)を利用して引っ越しを依頼するなどの裏技が紹介されているが、筆者はお勧めしない。

 普段はアマゾンなどの荷物を配達していて、引っ越し作業のノウハウを持っていない配達員に引っ越しを任せると、大切な荷物が破損するリスクがある。なかには貨物破損時の保険に加入していない業者もあるので、軽貨物自動車運送事業者に引っ越しを任せる場合は、引っ越し業で実績のある業者を選んでほしい。

●六曜を気にしない
 0123引っ越し文化研究所(アート引っ越しセンター)によると、引っ越し経験者の6割が「大安に引っ越ししたい」「仏滅の引っ越しは避けたい」など六曜を気にしていた。あえて仏滅などの不人気日を選ぶことで、春の繁忙期でも引っ越しができる可能性がある。

 筆者は引っ越しを2回に分けることを勧めている。これも一種の「分散引っ越し」である。

●1回目
 必要最低限の荷物(寝具と最低限の衣類、日用品など)のみを持って新居に引っ越す。イメージとしては、ダンボール数箱と布団一式程度。荷物が少ないので、宅配便で送ったり、乗用車で運んだりする。

●2回目
 繁忙期が空けたタイミングで、残った荷物を引っ越し業者に運んでもらう。筆者自身、サラリーマン時代、福岡から名古屋への転勤を命じられ、この方法を採用した。旧居と新居の家賃を20日近く二重に支払ったが、あとで計算してみると、繁忙期に無理して引っ越しをするよりもトータルで安く済んだ。

 安いかどうかはケース・バイ・ケースだが、この春に「引っ越し難民」になりそうな人は、このような分割引っ越しも検討してみてはいかがだろうか。

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