日本が誇る「宅配品質」を破壊? アマゾンは「誤配達→廃棄」という愚行をやめるべきだ
アマゾンは「誤配 =廃棄」

先日、筆者(坂田良平、物流ジャーナリスト)の自宅の玄関にアマゾンからの見知らぬ荷物が“置き配”されていた。よく見ると、その荷物の宛先は筆者の自宅とは別の住所だった。
この誤配された荷物を返品すべく、アマゾンのコールセンターに問い合わせると、担当者は申し訳なさそうに筆者にこう告げた。「申し訳ございません。
「お手数ですが、その荷物は廃棄していただけますか」
聞くと、中身は数百円の文房具だという。最初は、商品が安かったからなのかと思ったが、荷物の値段でアマゾンの判断が変わることはないようだ。筆者の知人には、“おいへの誕生日プレゼント”としてふたつの商品が届いた。それぞれ1万円を超えるものだったようで、筆者と同様に処分するよう指示されたそうだ。
補足しておくと、日本郵便を使って着払いで返送する方法もあるらしい。ただし、コールセンターの担当者によると、「集荷には対面で対応していただく必要があるため」、こうしたケースでは、まず誤配された荷物の処分を依頼するとのことだ。
「誤配した配送担当者に回収させればよいのではないか」
という筆者に、担当者はさらに驚く内容を告げた。
「今回配送を担当したのは、アマゾンが業務委託契約を結ぶ個人事業主の軽貨物自動車運送事業者であり、契約外の連絡はできないことになっています」
つまり、誤配をした当人には、自らやらかした誤配を正す機会も与えられなければ、誤配した事実を伝えることすら「契約外の連絡」に該当するため、できないのだという。
アマゾンの立場からすれば、返品にかかるコストなど経済合理性に基づいた判断なのだろうが、あまりにもドライな判断であることに驚きと疑問を感じる。
そして、日本の物流業界で大きな存在感を持つアマゾンのこのような非倫理的な判断(とあえていい切ろう)は、日本のBtoC物流ビジネス、特に
「軽貨物自動車を用いた運送ビジネス」
に歪みをもたらすのではないかと危惧する。