古い軍用機の「修復ビジネス」が日本で存在しないワケ
修復の3条件
ミリタリー関連イベントは、ライト層(初心者や素人)にも意外と人気がある。日本各地で開催される自衛隊や米軍の基地祭と呼ばれるイベントには、数万人から数十万人の観客が押し寄せる。集客力に優れたイベントとして、ビジネス的にも注目される。
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また、米国などからの第2次世界大戦中の日本軍戦闘機の里帰り飛行など、さらに多くの観客を集めるイベントもある。こうしたイベントは通常、メディアで一層大きく取り上げられる。
しかしその一方で、展示飛行するのはあくまで海外から持ち込まれた機体であり、日本で保存されている機体で飛行可能なものはない。物足りないと感じる人も多いだろう。その理由は何だろうか。
なぜ日本では、古い機体を飛ばせるようになるまで修復しようという動きがないのだろうか。今回は、欧米との比較を中心に、その背景を考えてみたい。
まず、古い航空機を飛行可能な状態に修復するには、次の三つの条件を満たす必要がある。
1.法的整備(機体の登録、飛行許可、操縦許可など)
2.技術的問題のクリア(修復に必要な技術、機材などの有無)。
3.予算計画の立案と調達
米国の場合、「1」については既にオリジナルメーカーが存在しない古い機体を登録する場合、本来は自作機が対象だった「エクスペリメンタル」カテゴリー、もしくはオリジナル度が高い機体については「リミテッド」カテゴリーで対応している。操縦許可についても明確な規定がある。
一方、日本には第2次世界大戦中の航空機に関する登録規定がない。操縦許可もない。過去に日本で展示飛行した海軍の零式艦上戦闘機が米国で登録されていたのは、この部分をクリアしていなかったからである。