日本で不人気「ご当地MaaS」 世界では逆にブームになっているワケ【連載】牧村和彦博士の移動×都市のDX最前線(15)

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日本では「ご当地MaaS」に対して批判的な言動を目にすることが多い。一方で欧米では今やご当地MaaSブームだ。なぜだろうか。

欧米ではブーム

ドイツ(画像:写真AC)
ドイツ(画像:写真AC)

 日本ではいわゆる地域限定の「ご当地MaaS(マース)」に対して批判的な言動を目にすることが多い。一方で欧米では今やご当地MaaSブームといってよいほど、地域ごとに異なる移動資源を総動員し、地域交通のブランド化を目指す取り組みがパンデミック(世界的大流行)を経て加速しているようだ。なぜだろうか。

 欧米では複数の移動手段をひとつのサービスとしてデジタルで統合した、いわゆるMaaSは古くから存在する。多くは民間企業が手掛けており、マイカーとの選択肢となりうるようなドアトゥドアの移動支援向けが主流だ。設計思想に、マイカーで移動しますか、それとも他の方法で移動しますか、という利用者にマイカー以外の選択肢を提示するものが多いのも特徴的だ。

 最近は、自分の位置情報から近くに利用可能な移動手段としてそもそも何があるのかをアプリを立ち上げた最初の画面で教えてくれたりもする。気の利いたコンシェルジュのように、「今鉄道が交通障害で動いていません、徒歩2分で自転車シェアが借りられますよ」と代替手段の情報を提供してくれる。進化のスピードも速く、粋な情報も人気の秘訣(ひけつ)なのかもしれない。

 利用しているときの感覚も心くすぐるものが多い。目的地を入れた瞬間に、自分が乗るべきバスが今どの辺りにいて、次の後続車も地図上で確認できる。時刻表をあまり信じていない人向けにも、これなら安心だろう。直近のバスは混んでそうだけど、その次は空いていそうだ、座って移動したいから次のバスまで待ってみよう、そんな気持ちの余裕にも上手に働きかけたりする。普段は自動車利用が中心で公共交通などの利用に不慣れな人向けに、不安を緩和するような仕掛けが、また次も利用してみようという気持ちにもなる。

 このような民間企業による洗練された移動支援のサービスが、グローバルに世界展開しており、Citymapper(シティマッパー)、Moovit(ムービット)、Transit(トランジット)、TripGO(トリップゴー)などはその代表選手だ。B2Bによるビジネスだけではなく、ホワイトレーベルとしてB2Gへのビジネス領域にも参入しており、行政が主導するご当地MaaSを手掛けている企業も数多い。欧米は交通情報のオープン化が日本よりもはるかに進んでおり、その結果、さまざまな新しいビジネスが誕生し、旧来の交通産業自体も活性化している。

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