北海道新幹線の並行在来線「バス転換」という荒唐無稽 試算に無理筋、もはや国の介入は避けられないのか
2030年に予定されている札幌延伸に向けて、北海道新幹線の工事が着々と進んでいる。その一方で、廃止が予定されている並行在来線区間の代替バスの運行形態は不透明なままだ。新幹線開業後、沿線自治体に巨額の負担を押し付けるという強引な政策は、いまや破綻の兆しを見せている。
バス転換への懸念再燃
2030年に予定されている札幌延伸に向けて、北海道新幹線の工事が着々と進んでいる。その一方で、廃止が予定されている並行在来線区間の代替バスの運行形態は不透明なままだ。新幹線開業後、沿線自治体に巨額の負担を押し付けるという強引な政策は、いまや破綻の兆しを見せている。
北海道は当初から、札幌延伸のために並行在来線の廃止とバスへの転換を主張してきた。廃止が予定されていた長万部~小樽間のうち、余市~小樽間だけは輸送密度が2000人を超えており、採算が取れる可能性が指摘されていた。
にもかかわらず、道は全区間廃止の方針を変えなかった。道の介入がなければ、沿線自治体だけで鉄道を維持するのは難しい。そのため、沿線自治体は廃止を受け入れるしかなかった。しかし、廃止が決まった今、バス転換への懸念が再燃している。その根拠は、道の
「見積もりの甘さ」
にある。
道は直近の乗客数をもとに、午前6~9時の余市~小樽間の輸送力を試算している。この試算では、補助席を含めて60人乗りの高速バスを使用することを想定している。
道によると、試算時点でこの時間帯に余市駅から小樽駅まで運行しているバスは20本ある。道では、試算の結果、JR利用者が全員バス利用に移行しても、ダイヤを変更し、利用者の少ない6時台と9時台の3便を7時台と8時台に移動すれば合計の便数を1本増やすだけで対応できると説明してきた。しかし、この試算にはかなり無理があることが指摘されている。