日本で不人気「ご当地MaaS」 世界では逆にブームになっているワケ【連載】牧村和彦博士の移動×都市のDX最前線(15)
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日本では「ご当地MaaS」に対して批判的な言動を目にすることが多い。一方で欧米では今やご当地MaaSブームだ。なぜだろうか。
ご当地MaaSが普及している背景

これまでのように、現地での窓口や券売機からの販売ではこれだけ短期間での販売は実現しえなかっただろうし、インバウンド需要への対応としてもご当地MaaSへの期待は高い。
もちろん、ご当地MaaSが普及している背景には、国家によるモビリティ分野のデジタル戦略があり、オープンMaaSの思想に基づく官民データ連携の枠組み、そのためのデータ基盤や共通化、国から地方へのデータ流通の仕組みも戦術として欠かせない。
生活圏での日常の定期利用をご当地MaaSで下支えしながら、カーボンフリーな移動に緩やかに行動変容を促し、非定期利用にはタッチ決済やハンブルグのようにアプリダウンロードのみで事後に最安値で自動決済されるような新しい技術も加える全方位な戦略が始まっている。
移動需要を喚起し、地域の交通事業者間の合意形成には時間をかけながら地域交通のリ・デザインに取り組む、そのトリガーにご当地MaaSはますます重要な役割を担っていくことだろう。