テレビ番組の「物流2024年問題」報道にミスリードが多いワケ 再配達をなくしても問題は解決しない!

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「2024年問題」のテレビ報道は増えたが、誤解を生みかねないものも多い。実際に筆者が見聞きした「よくあるミスリード」を紹介し、その誤りを指摘する。

物流危機を巡る「ミスリード」

物流トラック(画像:写真AC)
物流トラック(画像:写真AC)

「2024年問題」に対応するための関係閣僚会議が開催されたこともあり、「物流危機」への注目度は格段に高まった。

 テレビの情報番組でも物流危機が盛んに報じられている。社会・経済における物流の重要性を再認識する機会になったといえよう。

 しかしながら、にわかに注目を浴びたこともあって、誤解を生みかねない報道も散見される。実際に筆者(小野塚征志、戦略コンサルタント)が見聞きした

「よくあるミスリード」

をいくつか紹介したい。

ミスリード1「再配達をゼロにできれば2024年問題は解決する」

実態調査に基づく再配達率の推移。「持続可能な物流の実現に向けた検討会」より(画像:国土交通省)
実態調査に基づく再配達率の推移。「持続可能な物流の実現に向けた検討会」より(画像:国土交通省)

 テレビの情報番組で物流危機を報じるとき、必ずといっていいほどヤマト運輸や佐川急便の宅配トラックが映し出される。そして、大概、「再配達」がやり玉に挙がる。

 確かに、再配達がなくなれば宅配の効率性は向上する。より少ない時間で配達できるようになる。再配達の削減はトラックドライバーの不足に対する有効な打ち手であることは間違いない。

 では、再配達をゼロにできれば2024年問題は解決するのだろうか。

 結論からいうと、再配達がゼロになっても2024年問題は乗り越えられない。なぜなら、トラックの輸送量に占める宅配の割合は

「1~2%」

にすぎないからである。

 現状、宅配の再配達率は12%弱程度だが、政府の「持続可能な物流の実現に向けた検討会」での試算によると、この数字を7ポイント減らして5%にできれば輸送力を1億t補える。しかし、2024年問題の発生によって不足すると予想される輸送力は4億tだ。再配達をゼロにしたところで、2024年問題は解決しないのである。

 まして、この数字は机上の計算にすぎない。2024年問題の発生によって最も大きな影響を受けるのは長時間労働になりやすい長距離トラックだが、再配達が減少し、宅配トラックのドライバーに余力が生じたとして、長距離トラックを運転するようになるだろうか。

 大型自動車の運転免許が必要なことを考えると、そのハードルは決して低くない。再配達が減ったところで、長距離トラックのドライバー不足が解消されないのだとすれば、2024年問題を解決することにはならないのである。

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