テレビ番組の「物流2024年問題」報道にミスリードが多いワケ 再配達をなくしても問題は解決しない!

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「2024年問題」のテレビ報道は増えたが、誤解を生みかねないものも多い。実際に筆者が見聞きした「よくあるミスリード」を紹介し、その誤りを指摘する。

ミスリード4「物流費上昇の原因はトラック輸送にある」

トラック運賃の価格推移(画像:船井総研ロジ)
トラック運賃の価格推移(画像:船井総研ロジ)

 トラックの運賃は長らく微減傾向にあったが、2014年頃より上昇に転じ、現在では2000(平成12)年と比較して15%ほど高い水準にある。商品価格の改定にあたり、

「物流費の高騰」

を理由として掲げる企業は多いが、トラックの運賃上昇がその一因であることは否めないだろう。

 では、トラックだけが原因かと問われると、必ずしもそうではない。貨物の重量に輸送距離を乗じたトンキロベースで見ると、トラックは日本国内の総輸送量の55%を担っているが、40%は内航海運だ。その内航海運の運賃は2000年と比較して30%超上昇している。つまり、内航海運の運賃が上昇した影響は小さくないと見るべきである。

 日本国内に輸入される商品の99%以上は外航海運によって運ばれるが、この運賃も上昇している。コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻による海上輸送網の混乱を受けてピーク時には2000年対比で3倍超にまで上昇した。

 その後、落ち着きを取り戻しつつあるとはいえ、いまだ倍以上の水準である。輸入品を取り扱っている企業からすれば、トラックの運賃上昇以上のインパクトをもたらしたはずだ。

「物流 = トラック輸送」ではない。さればこそ、物流費上昇の原因もトラックだけではないのである。

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