テレビ番組の「物流2024年問題」報道にミスリードが多いワケ 再配達をなくしても問題は解決しない!
「2024年問題」のテレビ報道は増えたが、誤解を生みかねないものも多い。実際に筆者が見聞きした「よくあるミスリード」を紹介し、その誤りを指摘する。
正しく理解することの重要性

病気になったとして、その原因がわからなければ適切な治療を施せない。「咳がある」「熱がある」「鼻水が出ている」からといって風邪と判断するのは早計だ。実はガンだったとすれば、風邪薬を飲んでも治らないだろう。
それと同様に、物流危機のメカニズムを正しく理解できなければ2024年問題は解決できない。身近な宅配を取り上げることで社会的な関心を高めることは重要だが、再配達を減らすことの効果は限定的だ。レジ袋を有料化しただけではプラスチックゴミを抜本的に削減できないのと同じである。
政府の「持続可能な物流の実現に向けた検討会」では、輸送力を1億t補うために有効な対策をリストアップした。今後、各対策を実行するにあたっては、何を実行することによってどのような効果を得るのか、その筋道を具体化することが望まれる。やみくもに「積載率を倍にする」などという目標を掲げたところで実現できなければ意味がない。実現可能性を十分に考慮した目標と計画を策定することが肝要である。
ドライバー不足に起因する問題だからといって、トラックの輸送効率を高めるだけでは能がない。海運や鉄道にモーダルシフトすることでトラックの利用を減らすことも一案だ。今まですべてを東京港で荷揚げし、全国にトラック輸送していた輸入品であれば、西日本向けの商品を大阪港や博多港経由に変更することで国内の輸送距離を短くすることも考えられる。「物流 = トラック輸送」ではないからこそ、物流全体での最適化を指向することが大切である。
2024年問題の発現まで1年を切った。「まだ何も対策を考えられていない」という企業であれば、早急に
「物流全体の現状」
を把握すべきだ。そうすれば、どこに非効率があるのか、何をすればよいのかも見えてくるはずである。