テレビ番組の「物流2024年問題」報道にミスリードが多いワケ 再配達をなくしても問題は解決しない!

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「2024年問題」のテレビ報道は増えたが、誤解を生みかねないものも多い。実際に筆者が見聞きした「よくあるミスリード」を紹介し、その誤りを指摘する。

ミスリード3「積載率を100%にできれば物流危機は解消する」

貨物自動車の積載率の推移。「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」より(画像:国土交通省)
貨物自動車の積載率の推移。「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」より(画像:国土交通省)

 営業用トラックの平均的な積載率は40%程度である。自家用トラックとなると、その数字はさらに下がって20%程度だ。こう書くと、

「積載率を100%にすれば物流危機は解消する」
「積載率を倍にするだけでトラックの必要台数は半減する」

と思われるかもしれない。理論的にはそのとおりなのだが、その実現はなかなかに困難である。

 例えば、1台のトラックで10店舗に商品を供給するとしよう。出発時、商品を満載していたとして、5店舗目あたりで半分になり、全店舗をめぐって帰ってくるときには空になっている。よくある店舗配送だが、このトラックの平均積載率は50%だ。

 毎日満載で出発できればよいが、売れ行きが落ち込めば出荷量も減る。その減少量に応じてトラックのサイズを小さくしたり、配送先の店舗数を増やしたりしたいところだが、簡単には変えられない。結果として、出発時の積載率が60%になると、このトラックの平均積載率は30%に低下する。

 長距離トラックの場合、「片荷」の問題もある。例えば「九州から関東」と比べて「関東から九州」の輸送量は半分くらいしかない。したがって、往復で荷物を輸送しようにも、「関東から九州」はどうやったって満載にならない。

 しかも、これはあくまで総輸送量だ。食品や医薬品を運ぶトラックに不衛生なものは積み込めない。冷凍食品を運ぶためには冷凍トラックが必要だ。荷主企業からは、トラックのサイズはもちろんのこと、荷台の形状まで指定を受ける。帰りに運ぶ荷物がないからといって、何でも積み込めるわけではないのである。

 実のところ、このような条件をすべて織り込んだとき、トラックの平均積載率をどの程度高められるのか、誰も検証できていない。2024年問題に対応する上で積載率を高めることは大事だが、その余地はあまり大きくない可能性もあるのだ。

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