「水陸両用作戦」の真髄! 多様な任務に対応する圧倒的能力、それを支えるロジスティクス戦略とは
ディエップの「教訓」

水陸両用作戦では、「船から海岸への移動」が決定的なまでに重要になってくる。だからこそ「マルベリー」は、初期の上陸作戦の成功後、英仏海峡を曳行されノルマンディ海岸で組み立てられたのである。
実は、ヨーロッパ戦線で連合国側はディエップでの失敗を検証し、装備品からその運用方法に至るまでを見直すとともに、英仏海峡を越えた大規模な水陸両用作戦を成功させるために必要な装備品の備蓄や戦術の発展など、ディエップでのさまざまな教訓をノルマンディ上陸作戦での成功につなげたという。
そこで特に意識された事項は、上陸に先立って実施されるさまざまなロジスティクスをめぐる措置と、その後の砲爆撃の重要性であり、また、敵の海岸線や砲台などを砲爆撃で破壊あるいは無力化しない限り上陸部隊が危機に陥る、との事実であった。そしてこの事実は、イタリア戦線で実施された上陸作戦によって証明され、その後の「教訓」として生かされたのである。
こうした事実を踏まえてイギリスのマウントバッテン卿は、「ディエップでの1名の犠牲者が、最終的にはノルマンディで10名を助けた」と述べたそうである。
軍事作戦を支える基盤
一方、第2次世界大戦のアジア太平洋方面での戦いでアメリカは、「海上補給部隊(フリート・トレイン)」と呼ばれる移動式のロジスティクスジス・システムを構築した。
とりわけ1944年のマーシャル諸島占領以降、同国の大規模な船舶建造計画にも助けられる形で、アメリカ軍の海上でのシステムは、ロジスティクス支援の主要な形態へと発展する。すなわち、油槽船、弾薬運搬船、修理用船舶、タグボート、病院船、補給船などを有する「海上補給部隊」の誕生である。
また、近年ではローロー船などに代表される海上事前集積艦(MPS)もロジスティクス問題を解決するためのひとつの手段であるが、これはシー・ベイジングといった概念とともに、専門家の注目を集める課題になっている。
シー・ベイジングとは狭義の意味においては、遠征型戦争あるいは水陸両用戦争において任務部隊(タスクフォース)が、その作戦地点で陸上基地に依存することなく行動可能にするためのロジスティクスジス面の枠組みである。