「水陸両用作戦」の真髄! 多様な任務に対応する圧倒的能力、それを支えるロジスティクス戦略とは
今日の水陸両用作戦
もちろん、こうしたイメージとは対照的に総じて第2次世界大戦後の水陸両用作戦は、コマンド部隊あるいは特殊部隊による秘密裏の奇襲上陸および浸透が一般的になりつつある。
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今日の水陸両用作戦の主要な形態は、ノルマンディに見られたような戦力を集中しての敵前強行上陸ではない。
むしろ、分散して秘密裏かつ立体的に(= 3次元で)行われる奇襲作戦であり、小規模な戦力によって実施される場合が多い。
その意味では、水陸両用作戦という言葉を用いながらも、現実には今日の水陸両用作戦では「空」の要素が重要になりつつある。
実際、ヴェトナム戦争以降の水陸両用作戦は、ヘリコプターなどを用いて経空で実施される事例――「ヘリ・ボーン」作戦――が多い。
水陸両用作戦の目的
以下では、やや概念的になるが、水陸両用作戦の一般的な形態について考えてみよう。
今日、アメリカ統合参謀本部が公表している同国の水陸両用作戦のドクトリンに関する文書『水陸両用作戦のための統合ドクトリン』によれば、水陸両用作戦とは戦闘能力を最も優位な地点および時期に、正確に投射および適応することにより、奇襲の要素を創り出し、敵の弱点に付け込むことを探求する任務である。
そして、敵対的あるいは潜在的に敵対的な海岸に対して、海上から戦闘能力を投射することを含む概念であり、こうした水陸両用作戦部隊は、割り当てられた任務に基づいて編成されること――任務部隊(タスクフォース)――をその最大の特徴とする。
水陸両用作戦のより具体的な目的としては、一般に以下の五つが挙げられる。
すなわち、
1.さらなる軍事作戦を実施するためのいわば準備段階として
2.海軍前進基地あるいは空軍前進基地を確保するため
3.敵が重要地点あるいは施設を用いることを決定的に拒否するため
4.敵対的な地点に迅速かつ予期できない進攻を実施するため、あるいは敵の要員および物資に損害を与え犠牲を生じさせるため
5.敵の行動や意図に関する重要な情報を集めるため
である。