「水陸両用作戦」の真髄! 多様な任務に対応する圧倒的能力、それを支えるロジスティクス戦略とは
水陸両用「撤退」とロジスティクス
また、前述の水陸両用「撤退」については、とりわけ近年、軍事力のあり方および機能をめぐる問題と関連して多くの注目を集めているため、その要点を整理しておこう。ここでもやはり注目されているのが、軍隊のロジスティクス能力であるからである。
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兵士や装備品を海上へと撤退あるいは撤収させる能力を有することは、陸上での作戦における敗北を決定的な破滅へと導かないためにも重要である。つまり、兵士や装備品が敵の手に渡ること、あるいはそれらを全滅や破壊から救い出すために、水陸両用「撤退」は重要な役割を演じるのである。
もちろん水陸両用「撤退」には、水陸両用「襲撃」の最終段階での事前に計画されたものもあれば、敵の攻撃の結果として予期しない状況から実施せざるを得ない場合もある。
前述のガリポリ上陸作戦において、北部の拠点であるスーヴラ、ANZACコーヴおよびへレス岬からの撤退作戦では、ひとりの兵士も同地に取り残されることはなかったという。
直接敵と接しているなかでの撤退、それも常に敵の監視下にあり、敵の火砲の射程圏内にあるなかで、ほとんど犠牲者を出すことなく、また多くの火砲およびその他の装備品を失うことなく、軍事力を撤退し得たことは大きな成果であるものの、もちろんそこには、常にイギリスが完全な制海権――少なくとも局地的な――を握っていた事実は重要である。
実際、1940年のダンケルクからの撤退は、ほとんど準備期間がないなか、港湾施設のないなか、さらには制空権が確保されていない状況下での水陸両用「撤退」の難しさを明確に示している。
近年、水陸両用「撤退」は、民間人(非戦闘員)を撤退あるいは撤収させるためにその有用性を実証しており、例えば1995年のソマリアでは、国連平和維持軍を含めた多くの人々の救出に成功している。