「日本に追いつけ、追い越せ」はいずこへ? ヨーロッパの高速鉄道がこれまでの“スピード競争”をあっさり捨てたワケ

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かつて新幹線と“スピード競争”を繰り広げたヨーロッパの鉄道において、高速化一辺倒の時代は終わりを告げた。その背景を解説する。

「費用対効果」低く

ドイツの最新型ICE4。最高速度は250~265km/hと前モデルICE3から下がったが、加減速性能を大幅に向上させている(画像:橋爪智之)
ドイツの最新型ICE4。最高速度は250~265km/hと前モデルICE3から下がったが、加減速性能を大幅に向上させている(画像:橋爪智之)

 とはいえ、この頃からヨーロッパにおける鉄道の高速化についてはひと段落、という空気が流れるようになった。かつては高速鉄道技術において、先行する日本に追いつけ追い越せとばかり、鉄道高速化の研究が盛んに行われてきたが、ヨーロッパにおける「鉄道の最適な最高速度」がだいたい300km/hで、技術的にはさらなる高速化が可能であっても、それ以上の高速化をする意味が薄れたことが一番の要因だ。

 意味が薄れた理由はいくつかある。

 まず、多くの国で、都市間の距離がそれほど離れておらず、これ以上高速化しても大幅な時間の短縮が難しいという点だ。短い区間であれば、速度向上より加減速性能を向上させる方が理にかなっており、ドイツ鉄道の最新型ICE4は、最高速度300km/hの前モデルICE3と比較して35~50km/hも遅い250~265km/hへ低減したが、加減速性能の向上により、速度差を最大限カバーしている。

 もうひとつの理由は、高速化によるメンテナンス費用の上昇によって、費用対効果が低くなったという点だ。イタリアは、営業最高速度350km/h以上の運転を目指して試運転を行い、車両はすでに認可を取得しているが、営業運転については無期限延期する決定が下された。

 300km/h以上の高速走行をした際、バラスト(敷石)が巻き上がる問題が発生し、その改修費用に高額の費用がかかること、360km/h走行による時間短縮効果はわずか数分にもかかわらず、エネルギー消費量が増大し、これ以上の高速化は、現時点では得策とは言えない、と判断されたためだ。

 ヨーロッパにおいてはフランスとスペインが、比較的都市間距離が長く、さらなる高速化を実現する可能性が高い。特にスペインは国土も広く、ヨーロッパ最大の高速路線網を持っていることから可能性は高いと言えるが、他の国は現時点で話は聞かれない。

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