「日本に追いつけ、追い越せ」はいずこへ? ヨーロッパの高速鉄道がこれまでの“スピード競争”をあっさり捨てたワケ

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かつて新幹線と“スピード競争”を繰り広げたヨーロッパの鉄道において、高速化一辺倒の時代は終わりを告げた。その背景を解説する。

300km/h超の争いへ

次世代型TGVとなるアルストムのアヴェリア・ホライズン。世界記録を達成したV150型で得たデータや知見が設計に生かされている(画像:橋爪智之)
次世代型TGVとなるアルストムのアヴェリア・ホライズン。世界記録を達成したV150型で得たデータや知見が設計に生かされている(画像:橋爪智之)

 列車の最高速度は、1989(平成元)年にTGV大西洋線が運行を開始して以降、しばらく最高速度300km/hが上限となっていた。

 しかし2007年、開業前のLGV東ヨーロッパ線(注:LGVは高速新線/TGVは高速列車を指す)において、試験車両のV150型が、鉄車輪を使用した車両としては最速の574.8km/hを記録。そのLGV東ヨーロッパ線は、開業後に320km/h運転を開始、久々に営業最高速度の向上が実現した。

 フランス国鉄SNCFとメーカーのアルストムは、世界記録達成についてもちろん喜んだが、それ以上に、この試験を通して多くのデータを収集し、後の新型車両開発に大きく貢献することとなったのが大きかった。

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