ブルートレイン消滅の日本と何が違うのか? 欧州で「夜行列車」が増え続けるワケ
ヨーロッパでは近年、夜行列車の新規路線が毎年のように開設される。日本との違いの理由を解説する。
今後も増え続けるヨーロッパ
近年、ヨーロッパでは、夜行列車が再び脚光を浴びつつある。ヨーロッパでは毎年のように新規路線が開設され、2021年にはウィーン~パリ間で、オーストリアの夜行列車ナイトジェットが運行を開始、大きな話題を呼んだことは記憶に新しい。2022年12月11日に行われた冬ダイヤ改正でも、プラハ~ドレスデン~ライプツィヒ~チューリッヒ間に新たな夜行列車が設定されている。今後数年間の計画では、路線数はさらに増えていく予定だ。
一方で今の日本では、サンライズ瀬戸・出雲などはあるものの、かつてのブルートレイン全盛時のような時代が来るのは、ほぼ不可能といえる。ひとつは採算性の問題、もうひとつはJRの地域分離による各社間の乗り入れや運賃収入分配の難しさ、また航空機や高速路線バス、さらには身内でもある新幹線といった強力なライバルがあることも要因と言えよう。
夜行列車の運行には、それなりのお金がかかる。寝台用リネンなど、通常の列車にはないコストがかかる上、車両は基本的に夜行専用車両で、他の列車に使い回しができないから、寝台車自体がお金を生み出しにくい。
ヨーロッパの場合、常に利用者がいる路線を除いて、補助金がなければ採算割れする路線もあり、例えばウィーン~アムステルダム線は、オランダ政府からの補助金供出が運行の条件となっていたことから、その話し合いが一時滞ったことで、運行開始が遅れた。
鉄道会社の多くは民間企業のため、採算割れする路線の開設が難しいことは日本と同じで、そこに国からの補助があるかどうかが焦点となる。日本の場合、JR各社に対して夜行列車運行の補助金があるわけでもないから、よほど勝算がない限り、再度の本格参入は期待できないだろう。