北陸新幹線「福井延伸」 時間短縮の利便性に隠された地方都市の現実、そもそも県民「遊びにいくのは金沢」のホンネ
新大阪~長野間は約2割も時間短縮

2024年春に予定されている北陸新幹線の敦賀延伸開業の準備が進んでいる。JR西日本は2月28日、北陸本線の金沢~敦賀間130.7kmの廃止届を国土交通大臣に提出した。
北陸地方を経由して東京~新大阪間(約716km)を結ぶ予定の北陸新幹線の時短効果は大きい。2024年春の敦賀までの延伸後は、金沢~新大阪間は現在の2時間33分から、2時間3分と30分の短縮になる予定だ。
また、富山~新大阪間は、現在の3時間4分から2時間21分に短縮される。さらに目に見えて効果が大きいのは、関西から長野方面への移動だ。
新大阪~長野間は現在、東海道新幹線を使って名古屋駅から中央本線に乗り換え3時間52分かかる。これが2024年春以降は、
「3時間7分」
まで短縮される。短縮率は約2割にも及ぶ。
北陸と関西圏が2時間以下でつながる日

2046年の予定とされている全線開業の後は、さらなる時間短縮が見込まれている。
全線開業した場合、新大阪駅から福井駅は1時間、金沢駅は1時間21分、富山駅は1時間39分と北陸三県の県庁所在地が、いずれも2時間以下で関西圏と結ばれることになる。
敦賀までの延伸にともない、並行在来線部分はこれまでと同じく経営分離が決まっている。北陸本線の石川県部分は、金沢市に本社を置く第三セクター方式のIRいしかわ鉄道が、福井県部分は新設されたハピラインふくいが路線を運営することとなる。
並行在来線を受け入れてきた沿線だが、いま問題になっているのは
「利便性の低下をどのようにして避けるか」
である。
現在、関西圏と北陸地方を直通で運行しているのは特急「サンダーバード」だ。また、これとは別に名古屋駅~金沢駅間を「しらさぎ」が運行している。サンダーバードに限ると現在は大阪~金沢間で最大25往復が運行されている(1往復は和倉温泉駅まで。3往復は金土休日のみ)。並行在来線への移行にともない、2024年春以降、サンダーバードは敦賀駅止まりへと変わる。