JAL・ANAでも、LCCでもない「地域航空会社」 経営不振と過剰供給のなかで打ち出した生き残り戦略とは
「地方」ならではの良さ生かせ
これらの航空会社は、大手航空会社とは異なる独自性をアピールしている。
例えば、エア・ドゥの場合、機内で北海道ならではのドリンクを提供し、機内誌も北海道の情報が充実している。スターフライヤーは黒を基調とし、座り心地よくゆとりある座席、就航当初からタリーズコーヒーと提携したオリジナルブレンドのコーヒーを機内で提供。フジドリームエアラインズは茶菓やパンなどを機内で提供し、所有する16機の機体色が違うのも特徴だ(4号機と11号機のみ同じグリーン)
ただ、就航から数年で経営に行き詰まるケースが多い。さらに、日本でLCCが本格参入し、近年は新型コロナウイルス禍で航空業界全体が多大な影響を受けた。「飛行機と言えば大手」と相変わらず考える人も少なくない。
大手との共同運航便だと、例えば、ANAのサイトでエア・ドゥ運航便の航空券を購入した場合のみ、ANAのマイルや搭乗実績が付与される。エア・ドゥで購入するとそれらは付かず、ANAの上級会員特典なども使えない。エア・ドゥなども独自の会員制度があるものの、ビジネス利用など同じ路線ばかり何度も行き来する人以外は、日本全国そして国際線もある大手航空会社でマイルをためるほうが使い勝手がいいだろう。
航空会社の数は、日本の規模だと正直多すぎる。しかし、地域航空会社は搭乗するとその土地らしさが感じられ、サービス内容も充実している。スカイマークも、コーヒーやチョコレートが機内で無料提供され、座席に電源付きの機材もある。スターフライヤーは大手以上のサービスにもかかわらず廉価な運賃で、特にビジネス客に人気が高い。国内線の普通席における満足度が大手以上であることも多々あり、狭い国土ながらさまざまな航空会社に乗る機会があるのは貴重だ。
LCCは安さが売りではあるものの、厳格なルールは旅客にとって負担が大きい。「サービス大国」である日本では、やはりある程度のサービスが必要と言える。日本は地域によってさまざまな特色がある。大手より企業規模が小さいからこそ、地域航空会社だからできることもあるのではないだろうか。