ボーイング・エアバスを超える日も近い? ロシア製旅客機「MS-21-300」をご存じか

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ロシア製のジェット旅客機「MC-21-300」が、将来世界の空に進出する。ウクライナ情勢など、ロシアを取り巻く緊迫した政治状況下では材料調達のリスクも懸念される。

「MC-21-300」とは何か

イルクート「MS-21-300」(画像:イルクート)
イルクート「MS-21-300」(画像:イルクート)

 2021年12月28日、ロシア製のジェット旅客機MC-21-300(英語表記:MS-21-300)が、ロシア連邦航空局により基本モデルとしての型式証明を受けた。型式証明とは、

「安全性および環境適合性の基準をクリアした航空機の型式ごとに与えられる認証」

であり、認証を受けた地域で運行が可能となる。

 順調に進めば、MC-21-300は今年中にロシア国内で定期運行を開始する。このロシア製のジェット旅客機は、世界の空へと将来進出し、ボーイングやエアバスの牙城に食い込めるのだろうか。今回はMC-21-300の今後について考察する。

ソ連解体後の本格的なジェット旅客機

モスクワの街並み(画像:写真AC)
モスクワの街並み(画像:写真AC)

 ロシアにおける航空産業は1991年の共産主義の終焉(しゅうえん)以来、苦難の道をたどっている。ロシアを代表する航空機製造会社の公共株式会社ツポレフは、1990年半ばより、短中距離用ジェット旅客機Tu-334の開発を進めていたが、ソ連崩壊後の資金難などにより2009年に開発を中止した。

 また、ソ連時代からつづく旅客機製造会社の公共株式会社S・V・イリユーシン記念航空複合体は、1991年以前からll-86の改良型である4発ワイドボディー旅客機ll-96を開発していた。ソ連崩壊後の1998年に初飛行にこぎ着けたものの、販売に苦戦を強いられたことにより、2009年にボーイング社やエアバス社と競合する長距離旅客機の生産を中止し、貨物機や軍用機にシフトした。

 そんななか、ロシアの統一航空機製造会社(UAC)傘下にある旅客機製造会社のイルクート社とヤコブレフ社が開発した今回紹介する「MC-21」も、型式証明を受けるまでの道のりは平たんではなかった。開発当初は試作機を2013年に完成させ、2014年に初飛行、そして2016年の納入を予定していた。

 しかしいざふたを開けてみると、最初の飛行が2017年5月にまでずれ込んだ。その後、四つのプロトタイプを完成させ、その中のひとつであるMC-21-300が、やっと2021年12月に型式証明にこぎ着けたのである。