JAL・ANAでも、LCCでもない「地域航空会社」 経営不振と過剰供給のなかで打ち出した生き残り戦略とは
大手と同様の「フルサービス」

大手航空会社でもLCCでもなく、旅客便を運航する日本の航空会社は2022年8月現在、次の通りだ。カッコ内は本社所在地、主な拠点空港を示す。
・スカイマーク(東京都大田区/羽田、神戸)
・AIRDO(北海道札幌市/羽田、新千歳)
・ソラシドエア(宮崎県宮崎市/羽田、那覇)
・スターフライヤー(福岡県北九州市/北九州)
・フジドリームエアラインズ(静岡県静岡市/静岡、県営名古屋、神戸)
・アイベックスエアラインズ(東京都江東区/伊丹、仙台)
・天草エアライン(熊本県天草市/天草)
・オリエンタルエアブリッジ(長崎県大村市/長崎)
・新中央航空(茨城県龍ヶ崎市/調布)
・東方航空(東京都江東区/八丈島)
・第一航空(大阪府八尾市/那覇)
これらの航空会社はスカイマークを除き、本社や拠点空港が地方にあるのが特徴のひとつ。地方空港以外に、多くは東京国際空港(羽田空港)や大阪国際空港(伊丹空港)、福岡空港など国内の基幹空港にも乗り入れている。
大手航空会社との共同運航便も多い。ANAとコードシェア運航(2社以上の航空会社によって飛行機を共同運航する)するのは、AIRDO、ソラシドエア、スターフライヤー、アイベックスエアラインズ、オリエンタルブリッジ。一方、JALとコードシェア運航するのは、フジドリームエアラインズと天草エアラインだ。
これらの航空会社は大手同様、旅客に対してフルサービスを行っている。例えば、
・預け手荷物
・機内でのドリンク
・事前座席指定
などは無料だ。LCCが、最安運賃だと手荷物や座席指定が基本有料なのと大きく異なる。運賃もLCCほど変動せず、欠航や大幅遅延時などのサポートも大手とほぼ同等だ。
スカイマーク登場で変わった航空業界

日本で、大手航空会社ではないエアラインの登場で最も注目を集めたのは、スカイマークだ。1998(平成10)年9月19日、羽田―福岡線で路線開設。機内サービスを簡素化し、運賃を他社の半額程度とするなどして一気に話題となった。当時、日本エアシステム(JAS)を含めた大手3社の独占状態だった国内の航空業界に、ある意味「革命」をもたらした。
その後、エア・ドゥ、ソラシドエア、スターフライヤーなどが次々とデビュー。だが、どの航空会社も経営に苦戦し、エア・ドゥやソラシドエア、そしてスカイマークも事実上の経営破たんを経験している。スカイマークを除き、多くは大手との共同運航という形で存続している。
北海道が拠点のエア・ドゥと、九州・沖縄を拠点とするソラシドエアは2022年5月30日、共同で持ち株会社リージョナルプラスウイングズを設立し、同年10月に経営統合することが発表された。それぞれのブランドや路線はそのまま維持される。運航エリアの重複がなく、いずれもANAと共同運航しているため、旅客側そして運航側にとってもこの提携はプラスに働くと見られている。