公共交通を潰し続ける日本 復興のカギは欧州交通計画「SUMP」にあった!
鉄道事業者から値上げの申請が相次ぐ日本の公共交通。しかし筆者は、公共交通が「収益事業ではなく、まちづくりのひとつのツール」だと指摘する。
値上げの日本、値下げの欧州
人口減少と自家用車の普及にコロナ禍が加わり、日本の公共交通が苦境に立たされている。各地でダイヤの減便がなされ、バス路線の廃止も進む。4月にはJR西日本の記者発表があり、地方鉄道の路線運営のあり方の再考を求めた。
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そうしたなか、折からの燃料費等の高騰もあって、鉄道事業者からは値上げの申請が相次いでいる。今後、こうした値上げが進めば、短期的に事業者の収益は改善しても、公共交通利用者をさらに減少させることになるだろう。
これに対し、欧州の動きは全く異なる。
コロナ禍に伴う公共交通の利用者減少は同じだが、取られた措置は値上げではなく、
「値下げ」
である。
ドイツでは6月から1か月9ユーロ(約1200円)で、1か月間ドイツ全土乗り放題というチケットを発売した。ICE(インターシティ・エクスプレス)等の特急列車は使えないが、それ以外は、鉄道から路面電車、バスまで全て通用する。
オーストリアの場合、年間1095ユーロ(約14万円)、つまり1日当たり3ユーロの年間乗り放題券(気候チケット)を、昨秋発売した。こちらは、特急列車も含め、オーストリア全土を全てカバーする。このほか、イギリスでは、路線廃止とは逆で、廃線復活の動きが活発化している。