12駅が一気に消滅! ジリ貧「宗谷本線」に今春、あえて新駅が設置されたワケ

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2022年3月、JR北海道・宗谷本線に「名寄高校駅」が誕生した。存廃議論に揺れるローカル線にあって、新駅の開業が実現した背景には何があったのか。

既存駅を高校そばへ移設・改称

JR北海道・宗谷本線、移設・改称される前の東風連駅(画像:写真AC)
JR北海道・宗谷本線、移設・改称される前の東風連駅(画像:写真AC)

 存廃論議の俎上(そじょう)に載せられている最北の路線に、2022年春、新駅が誕生した。JR北海道・宗谷本線の名寄高校駅(北海道名寄市)。その名の通り高校生の通学に役立てるべく、既存の無人駅を高校の最寄りに「引っ越し」させたものだ。

 同線を巡っては、2021年3月のダイヤ改正で12駅が一挙に廃止された経緯があり、駅の「新陳代謝」を思わせる。

 公共性の高い場所へ駅を「置き直す」。それは、ローカル線存続の起爆剤、とまではいかなくても、鉄道の必要性を広く共有し共感し得る、重要なアイデアといえるだろう。

支線も駅も減り続けた

「本線」の名を冠し、1日3往復の特急列車が札幌や旭川と道北地域との連絡を担っている宗谷本線(旭川~稚内間、259.4km)は、今や、長大なローカル線の様相を呈している。

「本線」の名に反して、「支線」は存在しない。名寄からはかつて、オホーツク方面へ延びる名寄本線が東に、豪雪地帯に分け入る深名線が西に分かれ、鉄道の十字路を成していた。さらに、美深からは美幸線、音威子府からは天北線、幌延からは羽幌線も分岐していた。しかし、それらは全て、1980~90年代に廃止されてしまった。

「一人旅」となった宗谷本線自身も、経営難のJR北海道から「単独では維持することが困難な線区」の一つに挙げられている。豪雪地帯に敷かれた長大路線ゆえ、冬季の除雪をはじめとする維持費がかさむのだ。