日産はなぜ何度も「経営危機」に陥るのか? 鮎川財閥からゴーンまで…繰り返される「社内権力闘争」という病理
日産自動車は2025年3月期に最大7500億円の純損失を計上する見通し。過去の経営危機から再建を繰り返しながらも、企業体質の根本的な問題は解決されず、持続可能な成長への道筋が問われている。
再建を繰り返す企業体質の限界

日産自動車は2025年4月24日、2025年3月期の純損失が最大で7500億円に達する見通しを公表した。これは、過去最大だった2000年3月期の6843億円を上回る水準となる。
日産はこれまで幾度となく経営危機に直面し、そのたびに再建を繰り返してきた。1970年代には労使紛争が発生し、1990年代にはバブル崩壊後の業績悪化に見舞われた。2010年代にはガバナンス崩壊が経営を揺るがした。危機のたびに外部資本の注入やカリスマ経営者による改革が導入され、延命が図られてきた。
しかし、日産に問われているのは単なる再建手法ではない。
・株主
・顧客
・従業員
といったステークホルダーが繰り返し置き去りにされてきた背景には、企業体質そのものに根差す構造的な問題がある。
本稿では、日産の経営史を振り返りつつ、持続可能性を支える構造がいかに欠落してきたかを検証する。組織、資本、製品戦略の関係性を立体的に読み解き、日産の本質的課題に迫る。