「外国人の大群が家の周りを……」 香川県の小さな島にインバウンド殺到! 町営バス積み残し続出で、地元民もうんざり 是正策はあるのか?
最初の週末は濃霧で大混乱

「アートの島」として知られる香川県の直島に瀬戸内国際芸術祭(瀬戸芸)開幕で訪日外国人観光客が殺到している。訪日客が大挙してやってくる状態にうんざりする住民もいる。
朝から霧で香川県直島町の宮浦港へ向かう船が出ない。次々に集まってくる訪日客で乗船待ちの列が100m以上に。瀬戸芸開幕後初の週末となった4月19日朝、岡山県玉野市の宇野港が大混乱に陥った。瀬戸芸実行委員会のスタッフが状況説明に走るが、はっきりしない返事の連続に訪日客から「ノー」の大合唱が起きる一幕も。
霧が晴れて午前7時20分の始発便が出港したのは午前10時前で、定員500人の船内は満員。甲板もすし詰め状態となった。宮浦港に船が到着すると、訪日客が一斉に直島町が運行する町営バス乗り場に。町は臨時便を運行して対応したが、とてもさばききれない。積み残しが続き、訪日客が不満の声を上げていた。
港と住民の限界露呈

その後も宇野港で積み残した乗客が到着するたびに、訪日客が港の前で営業するレンタサイクル店3店に長い列をつくる。どの店もすぐに自転車がなくなり、「返却待ち」の張り紙が掲示された。直島町まちづくり観光課は開幕前に「来島者がどっと増えることへの不安がある。状況に応じて臨機応変に対応したい」と説明していたが、不安が的中した格好だ。宮浦港の混雑を眺めていた地元の女性は
「瀬戸芸のおかげで島に活気があるのは理解しているが、瀬戸芸が始まるといつもこんな感じ。訪日客が多すぎるのは困る」
と顔をしかめた。米国から来た若いカップルは
「観光サイトで見て気に入った。霧は仕方ないが、ガイドに聞いても『わからない』の一点張りで頭にきた」
とおかんむりの様子。「もう待つのが嫌だ」といい、展示物が多い本村地区まで約30分の道を歩き始めた。
米国人カップルと本村地区まで歩くと、県道沿いの歯科医院跡に人だかりができていた。芸術家が古民家を改装し、家自体を作品にした家プロジェクトの「はいしゃ」だ。錆びたトタンの外壁など廃屋感を強調しながら、自由の女神像やガラス廊下を内部に配置し、夢の記憶を表現しているそう。ここも訪日客に占拠されていた。