ネット通販だけじゃない! 人口減少の日本で「宅配件数」が増加してるワケ

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日本郵便の配達員が、施錠された郵便受けを勝手に開けて荷物を届けていた問題が報じられた。そこには日本における「宅配問題」の本質が透けて見える。

宅配は単身世帯を想定していなかった

 そのヒントは世帯の変化にある。日本人全体の人口は2008(平成20)年をピークに減少しているが、世帯数は1975(昭和50)年の3360万世帯から2020年の5500万世帯となった。年によって増減はあるが、世帯数は一貫して増え続けている。

 急増しているのは単身世帯やふたり世帯だ。

 たとえば、夫婦と独身の子どもふたりの家庭で考えてみよう。子どもが成人後に独立すると、世帯は夫婦だけの世帯とそれぞれの子どもの世帯の合計三つとなる。宅配先が3倍になるこの状況が、宅配事業に与える影響は想像以上だ。

 クロネコヤマトが日本で宅配事業を始めた1970年代は3世代で暮らす家庭も多く、勤労世帯では専業主婦が一般的だった。

 しかし、世帯構造の変化と女性の社会進出で宅配をめぐる状況は大きく様変わりした。

 現役の単身世帯は平日の昼間は不在がちだ。また、共働きが多いふたり世帯も在宅の可能性は低い。

 その結果、夜間や休日の再配達が急増した。『宅配がなくなる日 同時性解消の社会論』(松岡真宏・山手剛人 著、日本経済新聞出版、2017年)は、宅配のビジネスモデルは平日の昼間に誰かが在宅していることを前提としたものであり、現在の世帯構造と大きく乖離(かいり)していることを指摘している。

 再配達の問題はすでに国も取り上げている。

 国土交通省は2016年の国土交通白書で、再配達による社会的な損失は「年間1.8億時間の労働時間(年約9万人の労働力に相当)」とし、再配達を減らすための取り組みを呼びかけた。

 冒頭の日本郵便のケースも、根本的な問題は再配達の負担の大きさにあると考えられる。ならば、注意喚起による再発防止策は効果的な方策とは言いがたいのではないか。

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