「荷物は増えても利益は増えない」 なぜ物流現場は「製造業の好調」に追いつけないのか? 荷物は増えても景気“横ばい”の現実
2026年2月の景気DIは44.3に回復したが、製造業の改善に物流部門の停滞が重なり、不均衡な状況が浮き彫りとなった。上流コストの高止まりと設備投資の偏りが、供給網全体の収益性を圧迫している。
景気の動向

2026年2月の景気DIは44.3(前月比0.5ポイント増)となり、2か月ぶりに改善した(「帝国データバンク」2026年3月4日発表)。だが数字の中身を詳しく見ると、製造業が全体を押し上げたに過ぎないことがわかる。
製造業DIは41.8(同1.0ポイント増)で、3か月連続の持ち直しを示した。半導体や輸送用機械関連の生産活動が活発化した影響が大きい。一方、運輸・倉庫DIは43.8(±0.0ポイント)で横ばいのままにとどまり、荷動きの活発化が収益改善につながっていない。農・林・水産DIは46.3(同4.3ポイント減)と急落した。仕入単価DIは60台後半で高止まりしており、上流工程の費用負担が重くのしかかっている。
制度上の特徴も見逃せない。この調査は1社1票で集計されるため、一部の大手完成車メーカーの好調な数値が、数多くの中小物流企業の苦境を統計上で覆い隠す構造になっているかもしれない。技術面では、半導体やAI分野への投資が生産力を押し上げる一方、輸送工程の効率化は同じ速度で進んでいない。製造現場で求められる短納期や高頻度配送の負荷が、物流網の維持能力を削り取っているのだ。
2025年半ばから上昇する設備投資意欲も、現場の人手不足を補うための生存目的の投資が中心である。今回の数字は、作る側の回復と運ぶ側の停滞が同時に進む、不均衡な状況を映し出している――。