「一社専従はもう限界です」 自動車ケイレツの終焉か? 地銀8行が踏み切った“やむなき自己防衛”、559万人雇用を背負う産業再編とは

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地銀8行が2万7000社を束ね、6万8000社に及ぶ供給網へ介入した。製造品出荷額・輸出額の2割、559万人を抱える産業は、EV化と関税圧力で揺れる。系列依存を断ち切り、銀行主導で構造転換に踏み込む異例の連合が始動した。

地銀が動く背景

 地銀が動き出した背景には、これまでの産業構造を根底から揺さぶる要因がある。

 まず技術の転換だ。電気自動車(EV)は内燃機関車と比べて部品点数が3割から4割減少する。エンジンやトランスミッション、排気系といった巨大な部品群が不要となり、価値の中心はハードウエアからソフトウエアへと移っている。

 ソフトウエアが車両の機能を決定する時代への移行は、物理的な部品の組み合わせによって守られてきた中小企業の参入障壁を消し去る。内燃機関特有の熱や振動の高度な調整によって利益を得てきた企業にとって、部品の一体化は収益悪化に直結する。銀行が広域連携を急ぐのは、貸出資産が劣化するのを防ぐための防衛策だ。

 地政学的なリスクも大きい。米国の高関税政策を受け、メーカー各社は生産体制の見直しを余儀なくされている。岡山県の調査では、回答した企業の6割が2025年の米関税引き上げ後に取引先から生産調整の連絡を受けた(同紙)。

 関税回避のためにメーカーが米国現地での生産を優先すれば、日本国内の生産は必然的に減る。日本国内の工場が米国市場の需給を調整するための場所に成り下がれば、地方工場の稼働率低下は下請け企業の経営を直接圧迫する。特定のメーカーに頼り切ってきたサプライヤーは、メーカーのグローバル戦略による変動の影響をまともに受けることになる。

 中国勢の台頭による競争力の差も見逃せない。EV市場ではBYDなどが急成長しており、日本メーカーの出遅れは国内生産台数の減少を招く。日産自動車が2027年度末に追浜工場での生産を終了し、従業員約2400人のうち1000人以上が転籍を迫られる事態は、その前兆といえる。

 県内にある2000社以上の関連企業は、主要な取引の消滅という厳しい局面に立たされている。これらの変化は部品メーカーの業績悪化に留まらず、地域経済全体の縮小につながる恐れがある。

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