「一社専従はもう限界です」 自動車ケイレツの終焉か? 地銀8行が踏み切った“やむなき自己防衛”、559万人雇用を背負う産業再編とは

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地銀8行が2万7000社を束ね、6万8000社に及ぶ供給網へ介入した。製造品出荷額・輸出額の2割、559万人を抱える産業は、EV化と関税圧力で揺れる。系列依存を断ち切り、銀行主導で構造転換に踏み込む異例の連合が始動した。

地銀の真の動機

 地銀がこれほど大規模な連携を急ぐ理由は、慈善活動ではない。自動車産業は、日本の製造品出荷額と輸出額のそれぞれ2割近くを占め、地方銀行にとっては最大の貸出基盤となっている。この基盤が危うくなれば、地域銀行の経営そのものが成り立たなくなる。

 部品メーカーの経営が悪化すれば、法人の貸し倒れが発生するだけではない。そこで働く膨大な数の従業員は、地銀にとって住宅ローンの借り手であり、給与振込や預金の利用者でもある。自動車産業の衰退は個人の返済能力の低下を招き、地域全体の資金循環を止める。

 金融機関にとって559万人の雇用を維持することは、地域経済を支える金融の仕組みが全滅するのを防ぐための実利的な防衛行動である。

 系列の枠を越えた取引を促し、供給網を強くする取り組みは、変化に対応できない企業を救済することが目的ではない。むしろ競争力を欠く企業まで無理に支えれば、銀行自身の財務も共倒れになる恐れがある。

 今回の広域連携は、銀行が自らの収益源を確保し続けるための厳しい自己防衛策である。金融機関は、資金を融通する役割から、産業全体の仕組みを整え、価値の流れを作り出す役割へと踏み出している。

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