「一社専従はもう限界です」 自動車ケイレツの終焉か? 地銀8行が踏み切った“やむなき自己防衛”、559万人雇用を背負う産業再編とは

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地銀8行が2万7000社を束ね、6万8000社に及ぶ供給網へ介入した。製造品出荷額・輸出額の2割、559万人を抱える産業は、EV化と関税圧力で揺れる。系列依存を断ち切り、銀行主導で構造転換に踏み込む異例の連合が始動した。

ケイレツの歴史的役割

地銀イメージ(画像:写真AC)
地銀イメージ(画像:写真AC)

 戦後の日本の自動車産業は、完成車メーカーを頂点とし、一次、二次、三次と連なるピラミッド型のケイレツ構造を構成した。この仕組みは、安定した発注と技術の共有、そして長期的な信頼関係によって機能してきた。

 言葉にしにくい暗黙の了解や細かな調整を通じて品質を高める手法は、日本の製造業における強みであり、効率を高めるための土台だった。信頼を土台とした外部経済としての役割を果たしてきたといえる。

 だがこの構造は弊害も生んでいる。価格の決定権が一部のメーカーに集中し、下請け企業は他の業界へ進出することが困難になった。特定のメーカーへの依存体質は、市場が拡大している時期には安定をもたらしたが、市場が縮小し技術が大きく変わる局面では、身動きを封じる足かせへと変わる。

 自動車は日本の製造品出荷額と輸出額のそれぞれ2割近くを占め、関連する就業者数は559万人に上る基幹産業だが、この構造的な制約が成長を阻んでいる。

 ソフトウエアが価値の源泉となる時代、ハードウエアには共通化や効率化が強く求められる。かつて強みだった特定のメーカー専用の仕様は、今や他の産業への参入を妨げる技術的な負債となっている。

 ケイレツという枠組みは、特定の相手への過度な依存がもたらす負担が、発注量という見返りを上回る逆ザヤの状態に陥っており、変化の激しい現代において企業の存続そのものを脅かすリスクとなっている。

 全国に6万8000社以上ある供給網を担う企業のうち、売上高が10億円未満の企業が8割弱に達する現状では、この依存からの脱却が急務となっている(帝国データバンク)。

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