「一社専従はもう限界です」 自動車ケイレツの終焉か? 地銀8行が踏み切った“やむなき自己防衛”、559万人雇用を背負う産業再編とは
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地銀8行が2万7000社を束ね、6万8000社に及ぶ供給網へ介入した。製造品出荷額・輸出額の2割、559万人を抱える産業は、EV化と関税圧力で揺れる。系列依存を断ち切り、銀行主導で構造転換に踏み込む異例の連合が始動した。
地銀8行の戦略
地銀連合が進める戦略の中心は、企業の自立を促し、地域全体の耐性を高める点にある。
取引先の分散化だ。特定の完成車メーカーとの取引に依存せず、複数の販路を確保することで、下請け企業の価格交渉力を引き出す。利益率の改善は企業の財務体質を強くし、銀行にとっては融資の安全性を確保する結果となる。
この多角化は、部品メーカーが持つ精密加工や熱処理の技術を、ロボティクスや医療機器といった分野へ通用する汎用的な価値として確立する試みでもある。これまで培った高い品質管理能力を、他の高付加価値な領域へと展開し、産業の広がりを作る。
M&Aによる事業の集約化も重要だ。前述のとおり、全国に6万8000社ある供給網のうち、売上高10億円未満の企業が8割弱を占めている。この規模では、EVへの移行に必要なデジタル投資や開発費用を捻出するのが難しい。
地銀が仲介役となって企業同士を統合し、投資に耐えられる資本規模を確保する。効率を高め、生産性を向上させることで、国際的な競争力を底上げする。小規模な企業が乱立する現状を改め、次世代の技術開発に資金を投じることができる体制を整える。これは独立系メガサプライヤーに対抗できる連合体を地域横断で構築する活動といえる。
産業の垣根を越えたマッチングも欠かせない。群馬銀行系の調査によると、54%の企業が自動車以外の販路開拓を課題としている。特定の産業に頼り切る構造は、景気や政策の変動による影響を過大にする(同紙)。
地銀は域内の約2万5000社に及ぶ供給網を俯瞰し、異なる業種との接点を増やす。特定の分野が不調になっても地域経済が危うくならない仕組みを整える。銀行は資金の出し手に留まらず、取引の流れを整える役割を担うようになっている。