日本の燃料電池車は「オワコン」なのか?――トヨタの孤独な闘いと、世界シェア43%のヒョンデ、中国も商用車追随の現実

キーワード :
, , ,
燃料電池車FCVの世界販売は2025年にわずか1万6011台。ヒョンデが42.9%のシェアを握る一方、日本勢はトヨタ7.3%、ホンダ1.2%に低迷。高コストとインフラ不足が普及を阻む中、国家戦略の再設計が巻き返しの鍵となる。

欧米メーカーの相次ぐ撤退

日本国内の水素ステーション整備状況(画像:次世代自動車振興センター)
日本国内の水素ステーション整備状況(画像:次世代自動車振興センター)

 欧米の主要メーカーが相次いで開発から手を引いている。市場の先行きが不透明だからだ。

 2025年2月、ルノーグループは米プラグ・パワーとの合弁会社「HYVIA」の清算を決めた。同年7月にはステランティスもFCV事業の中止を発表した。10月には、かつてホンダと共同開発を進めていたゼネラルモーターズ(GM)までもが次世代燃料電池から撤退。経営資源を電気自動車(EV)へ集中させる方針を鮮明にした。

 これに呼応するように、ホンダもGMとの合弁によるシステム生産を2026年中に終了する。民間企業にとって、巨額の投資が必要なインフラ整備が追いつかない現状は、事業を続けるうえで致命的なリスクと見なされた。

 水素ステーションの建設費はガソリンスタンドの4倍に達する。投資回収の目途が立たない企業を次々と撤退へ追い込んでいる。

 この動きは石油資本にも波及した。オーストラリアのOMVや米国のシェルは、相次いで水素ステーションの運営から退いた。利用者が少ないなかで維持費だけが膨らむ。収益性を最優先するグローバル企業の論理から外れた構造だ。

 こうした一連の流れは、FCVがもはや時代の要請から外れた存在であるとの疑念を深めている。だがこの撤退劇は、乗用車としての普及の限界を認めたに過ぎない。エネルギー密度と積載量が重視される大型トラックや船舶といった、EVでは対応が難しい領域へ、水素は立ち位置を移していくだろう。

 世界各地で進むインフラの縮小は、水素が汎用的な燃料としての地位を失い、特定の産業用途へ特化していく過渡期の混乱として捉えることができる。

全てのコメントを見る