「最強のエンジン技術」が重荷に変わる? 南ドイツ失速、スペイン北部躍進――なぜ「熟練のプライド」は変化の足枷となったのか

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欧州自動車産業で雇用の重心が変わる。南ドイツやチェコでは削減が進む一方、スペイン北部は2035年までに新規雇用増が見込まれ、人的資本の更新速度が地域競争力を決める時代が到来している。

資源最適化の必要性

スペイン(画像:Pexels)
スペイン(画像:Pexels)

 今回のリポートが示したのは、欧州の自動車産業を支えてきた技能体系そのものが、経済的な効力を失いつつある現実である。

 変化の方向ははっきりしている。ソフトウェアやバッテリー、高度なデータ分析の分野では需要が急速に伸びる一方で、金属加工や従来型の事務職は構造的な縮小傾向にある。2035年までに、職能の構成は根本から書き換えられる見込みだ。ただし問題は、変化が予測可能であるにもかかわらず、対応が後手に回っていることにある。

 多くの地域や企業では人材管理が依然として事後対応型にとどまり、結果として必要のない職位の喪失が続いている。かつて競争力の源であった高度な金属加工技術や内燃機関に特化した技能は、いまや転換期において労働力の柔軟な移動を阻む埋没費用に変わってしまった。

 Adecco Groupの最高経営責任者(CEO)、デニ・マシュエルは次のようにコメントしている。

「ガソリン車から電気自動車への移行は、雇用・労働市場においても急速かつ大きな変化をもたらしています。我々の調査結果は、主な障壁が研修内容の不足ではなく、運用面での実行力にあることを明確に示しています。事後対応型の採用から、需要を先取りした地域連携型の人財計画へと転換しなければ、重要な製造能力と何百万人もの熟練労働者の両方を失うリスクがあります。競争はすでに始まっており、企業は正しい方向へ進んで行く必要があります」

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