日産リーフ「B5グレード」実質310万円は復活のサインか? 稼働率1割に喘ぐ工場維持を優先する“台数至上主義”の行方

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2025年の国内新車販売は約457万台と2年ぶりに回復したが、EVは6万台にとどまり伸び悩む。日産はリーフB5で低価格戦略に挑む一方、トヨタは充電インフラとサービスで顧客囲い込みを進め、安さか安心か、EV選択の価値観が明確に分かれる年となった。

工場の稼働率低下がもたらす重圧

日産・リーフB5(画像:日産自動車)
日産・リーフB5(画像:日産自動車)

 2025年通年の新車販売台数は、前年比3.3%増の約457万台で、2年ぶりに前年を上回った。ただ、電気自動車(EV)の前年比は1.6%増にとどまり、約6万台だった。トヨタやホンダが新モデルを投入し、中国の比亜迪(BYD)も売り攻勢を強めているにもかかわらず、EV市場の伸びは鈍くなっており、各メーカーは戦略を練り直す必要に迫られている。

 ブランド別の新車販売台数で前年を上回ったのは、トヨタ、ダイハツ、スズキ、マツダ、スバルだった。日産、ホンダ、三菱自動車は前年より減っており、メーカーごとの勢いの差がはっきりと見える。特に日産はモデルの切り替えが遅れたなどの要因で、前年比15.2%減の40万余りに低迷し、過去で最も低い数になった。

 新型リーフなどを生産する日産の栃木工場の稼働率は、2024年の4割から2025年には1割まで下がった。採算が合う8割の稼働率を大きく下回り、工場の維持費が経営に重くのしかかっている(『読売新聞』2026年1月29日付け)。

 この状態が続けば、日産が進めている経営再建策「Re:Nissan」の妨げになる可能性が出る。かつては強みだった生産拠点が、今や利益を削る最大の障害になっていることを示している。巨額を投じた高度な生産設備が、少しも使われないせいで経営を圧迫する巨大な負担に変わっている。日産は、市場の需要に合わせるのではなく、工場を動かすためだけに生産を強いられるリスクがあり、これがキャッシュフローの悪化をさらに進める恐れがある。

 一方で、トヨタは別の視点から動いている。国内で進んでいないEVの普及を打破すべく、自社開発の6kW充電器を投入し、トヨタグループの会社によって充電器の設置場所の調査から施工までを一箇所で対応できるようにした。こうした実務的なサポートで「EV を使い始めるまでのハードル」を下げる仕組みで対抗し、EV導入の体験を通じて顧客を囲い込む戦略に転じている。

 トヨタは車を売る前に顧客の住まいの周りに影響を及ぼし、他社が入りにくい障壁を作っていることに過ぎない。日産のように生産台数の多少に左右されない収益の基盤を、少しずつ固めていくのだ。

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