「その条件では運べません」 輸送能力34%不足時代へ――物流会社が選び始めた「荷主の条件」

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2030年度には輸送能力の34%、9億t分が不足する――。物流危機が深まるなか、運送会社が荷主を選ぶ時代が現実味を帯びてきた。物流を「コスト」と見なしてきた企業は生き残れるのか。ヤッホーブルーイングの実例から、これからの荷主像を探る。

深刻化する輸送能力の不足

物流トラック(画像:写真AC)
物流トラック(画像:写真AC)

「製品は作った。需要もある。しかし、運べない」――そんな事態が、いま現実になりつつある。いわゆる「物流クライシス」だ。

 物流業界は、2024年に始まったドライバーの時間外労働の上限規制に加え、少子高齢化による担い手不足が深まるとされる「2030年問題」に直面している。

 国土交通省の試算では、このまま有効な対策を取らなければ、2030年度には輸送能力の約34%(9億t相当)が不足すると見込まれている。

 現場の厳しさは数字にも表れている。トラックドライバーの有効求人倍率は、全職業平均の約2倍という高い水準が続いている。さらに、働き手の年齢構成は全職種平均に比べて40~50代の割合が高く、39歳以下の若手が極めて少ない。

 このまま現役世代の引退が進めば、多くの企業で物流網の維持が難しくなるのは避けられない。地方の状況はさらに厳しい。国交省の試算では、2030年には秋田県で約46%の貨物が運べなくなるとされる。かつては

「条件を受け入れられないならほかを探す」

といえたかもしれない。しかし、いまは代わりのトラックそのものが見つからない状況にある。

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