日産リーフ「B5グレード」実質310万円は復活のサインか? 稼働率1割に喘ぐ工場維持を優先する“台数至上主義”の行方
リーフB5の役割と課題

日産・リーフB5は、先行して販売されたB7グレードよりも約80万円値下げされた。「価格が安くなればEVは売れる」という仮説が、今の市場でどこまで通じるかを証明する役割を担っている。この大幅な値引きは、日産がかつての「EVの先駆者」という自負を捨て、激しい価格競争が繰り広げられる実用車市場へ本格的に入ったことを物語っている。
EVを購入する際の判断材料のひとつとして、一回の充電で走れる距離がある。消費者が「電気が切れるのが不安」という気持ちをどこまで解消できるかが試される。テスラやヒョンデ、BYDなどのモデルの航続距離は600km以上であるのに対し、リーフB5は521kmにとどまっている。
初代リーフよりも航続距離が3倍近く伸びており、約15年の進化とも見えるが、他社よりも劣っていることは明らかだ。B7グレードの航続距離は702kmで他社と比べてもおかしくないが、期待されたほど売れていない。リーフB5では、性能面での不足分をコストパフォーマンスでどこまで埋められるかが問われる。この521kmという数値は、日産が独自の優位性を確立することをあきらめ、海外メーカーが得意とする低価格の土場に入ったことを裏付けている。
また、新型リーフのリセールバリューが将来的にどうなるかという不安もある。中古車市場に出回っている2017年以前に発売されたリーフは、バッテリー劣化などの影響で100万円以下が相場となっている。消費者には「リセールバリューが低い」というイメージが定着しているなかで、日産がどのような安心材料を提示できるかが今後の売り上げを左右する。
この低さは、将来の買い替えコストを増大させるため、購入時の安さは実質的な値引きではなく、表面的なリスクの先送りと見なされる可能性がある。日産は、「数年後に車の価値がゼロに近づく」という市場の冷たい予測を覆し、資産としての価値を保証する責任を負わされている。