日産リーフ「B5グレード」実質310万円は復活のサインか? 稼働率1割に喘ぐ工場維持を優先する“台数至上主義”の行方
2025年の国内新車販売は約457万台と2年ぶりに回復したが、EVは6万台にとどまり伸び悩む。日産はリーフB5で低価格戦略に挑む一方、トヨタは充電インフラとサービスで顧客囲い込みを進め、安さか安心か、EV選択の価値観が明確に分かれる年となった。
期待と懸念の交錯
「安さ」で勝負した場合の期待と懸念を整理すると、まずメーカー側では、車の価格を下げることで販売が伸びることが期待される。結果として工場の稼働率が上がれば、固定費の負担が減ることにつながる。だが一方で、「薄利で多くに売る」という罠に陥るリスクがある。利益率が極めて低いモデルを大量に売り出すことは、将来の研究開発に回せる余力を奪い、次世代の競争力を削ぐ行為につながる。
車の価格を重視する消費者には、できるだけ安く買いたい気持ちが働く。このため、補助金を使うことを前提とした商談が増えることが想定される。ディーラーにとっては、一台売るためにかかる労力が以前よりも大きくなり、効率が低下することになる。
営業担当者が「魅力的な移動の体験を提案する」という役割から、補助金の申請や複雑な公的手続きの処理に追われる事務作業の代行者のような存在へと変わってしまうことは避けられない。この現場の疲れは、顧客への丁寧な対応を難しくし、長期的には店舗への信頼を失わせる要因となる。
消費者にとっては、初期費用が数万円単位で安くなることは魅力だ。だが、自宅や自宅の周りの充電環境によっては、使いにくさが大きく変わる現実がある。EV を選ぶかどうかは、より慎重な判断が求められる。購入時の安さに惹かれた結果、日常生活での不便という代償を払わせられる消費者の不満は、やがてメーカーへの強い怒りへと変わり、日産ブランド全体の評価を揺るがす恐れがある。
安い製品を提供することが、必ずしも消費者の生活の質を上げるとは限らないという矛盾が、販売現場にのしかかっているのだ。