日産リーフ「B5グレード」実質310万円は復活のサインか? 稼働率1割に喘ぐ工場維持を優先する“台数至上主義”の行方
2025年の国内新車販売は約457万台と2年ぶりに回復したが、EVは6万台にとどまり伸び悩む。日産はリーフB5で低価格戦略に挑む一方、トヨタは充電インフラとサービスで顧客囲い込みを進め、安さか安心か、EV選択の価値観が明確に分かれる年となった。
売り上げが伸びた場合の裏側
日産にとっての最善のシナリオは、リーフB5投入後に栃木工場の稼働率が8割程度まで回復し、工場の運営コストを十分に賄えるようになることだ。これによって、栃木工場の運営を軌道に戻すことが可能になる。
稼働率の回復は、経営を圧迫していた固定費の負担を減らし、日産の国内製造の基盤を続けて維持するための直接的な解決策となる。また、販売が増えることで収益に余裕が生まれ、数年後に控える新型EV開発にさらなる投資を回せる道も開ける。
EV市場で、リーフB5が「手頃なEV」というポジションを確立できれば、ガソリン車から乗り換える層を引き寄せる可能性もある。
だが、この成功は同時に日産を低価格モデルに頼り続ける、引き返せない道へ引きずり込む。販売台数が目標に達したとしても、それは利益を削った結果で得られる成果であり、日産のブランドイメージを「安い実用車メーカー」として固定させる副作用をともなう。栃木工場を続けるためにかかる売り上げが増えるほど、将来的に高付加価値モデルに戻ろうとする際の障害が大きくなる。
目先の現金を得るための戦略が成功することは、中長期的には、自社を「薄利で多くに売る」という構造から抜け出せなくさせる、避けがたい罠としての側面も持っている。この状況での成功は、日産が先進技術で市場を先に導く立場から、価格維持に追われる追随者へと転落したことを確定させる。