2025年の摩擦――統合を阻んだ「将来戦略」「文化」「車載OS」という3つの断層【短期連載】日産はホンダと再び歩みを進めるべきか(2)

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日産とホンダの統合破談は、将来戦略・企業文化・車載OSの三つの断層が重なった結果だ。欧州98%、米国40%を目標とする日産と、2040年EV100%を掲げるホンダ。技術的蓄積の差も明暗を分けた。

日産・ホンダ「将来戦略の断層」

ホンダ・日産のロゴマーク(画像:AFP=時事)
ホンダ・日産のロゴマーク(画像:AFP=時事)

 日産とホンダの経営統合が破談となってから、丸1年が経過した。両社はそれぞれの道を進んできたが、自動車を取り巻く環境は変わらず厳しいままである。1年前、年間販売800万台を目標に掲げた提携は市場に大きな期待をもたらした一方で、OSの差異や現場の矜持が統合を阻む現実も露呈した。2026年を迎え、競争の軸は「量」から「知能」へと移りつつあるなかで、両社に残された選択は組織の合流か、機能別の共闘か。ブランドの誇りを保ちつつ、開発費を大胆に圧縮する新たな道は開けるのか。統合発表から破談に至る過程を振り返り、生存の壁を探る。

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 今回は「将来戦略」「文化」「車載OS」の三つの断層を軸に、技術や文化の観点から統合破談の背景を探る。

 技術開発の根幹は、会社が描く将来戦略にある。将来の商品構成や売上、コスト、利益を描いたうえで技術目標を設定し、開発を進めていくのである。統合発表時点における日産とホンダの将来戦略を見てみよう。

 日産は2021年の長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」(2023年2月に見直し)で、市場ごとの電動車販売比率を設定していた。欧州は98%、日本は58%、中国は35%、米国は2030年度までに電気自動車(EV)のみで40%以上という目標である。日産は市場ごとの電動車普及の進捗に応じ、エンジン車・ハイブリッド車(HV)・EVを組み合わせる柔軟な姿勢をとっていた。

 一方、ホンダは2021年4月に、2040年までに世界でのEV/FCV販売比率100%を公表し、2024年5月のビジネスアップデートでもこの目標を堅持していた。両社の将来戦略は根本的に異なっていたのである。長期ビジョンとして目標が定められている以上、そこに向けて人材や資金を投入するだけでなく、目標年によって開発スピードも自然と変わる。

 もちろん、同床異夢のまま統合することも理論上は可能である。開発投資の拡大や効率化に加え、技術的な補完関係により、日産とホンダの双方に得られるものは大きい。しかし、2024年12月に統合検討が始まった時点で、両社の将来戦略の乖離はあまりにも大きかった。もしホンダがより柔軟な戦略をとっていれば、結果は変わったかもしれない。

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